子どもの心理の専門家・スクールカウンセラーに相談すべき「子どもの悩み」5つの兆候
公認心理師・スクールカウンセラーが語る 学校での悩みは何を相談していい? #1 相談するタイミングについて
2023.07.17
公認心理師:中井 ようこ
子どもが悩んでいるかもしれない5つの兆候
スクールカウンセラーに相談するタイミングを見極めるためには、日ごろから子どもの様子をよく観察することが大切です。
子どもの心身の健康を守るためにも、次のような5つ兆候が表れたら、まずは子どもに話を聞いてみましょう。
①普段より元気のない日が続いている
子どもの心にストレスがたまり始めると、最初に体調面の変化が表れやすくなります。
なぜなら、心配事や悩みが大きくなると、寝つきが悪く睡眠不足になったり、食欲がなくなったりして、活動するためのエネルギーを蓄えられなくなるからです。
「体がだるそう」「顔色が悪い」「頭痛や腹痛をよく訴える」などの症状がみられないか、子どもの様子を毎日よく見てあげてください。
②反抗的な態度やイライラしていることが多い
大人に対する反抗的な態度や、周囲にイライラしていることが多いときは、子どもの心のバランスが崩れている可能性があります。ひとりでは抱えきれない悩みがあったり、上手にストレスを解消できていなかったりすると、情緒不安定になる子どもは多いものです。
小学校高学年ごろから思春期が始まると、子どもへの接し方などで悩みを抱える保護者も増えてきます。親子が幸せになる対応を考えるためにも、スクールカウンセラーへの相談が役立つことがあります。
③遅刻や欠席が多くなった
普段は元気に登校していた子どもから、「学校を休みたい」、「朝起きられない」などの言葉が出てきたら、心のSOSサインだと思ってください。
子どもが学校に行きたくない理由のひとつが「学校で過ごすプレッシャーに耐えられない」ことです。
子どもが感じているかもしれないプレッシャーは、勉強、友人関係、いじめ、先生との関係などが予想されます。悩みの背景には、発達障害やこころの病気がかくれているケースもあるので、スクールカウンセラーの専門的な関わりが助けになることがあります。
④友達とのトラブルが増えている
友達とのトラブルの増加は、スクールカウンセラーに相談する重要な兆候のひとつです。なんらかの原因で、子どもが周囲との人間関係を上手に構築できなくなっている可能性があります。
なかには、もともとのコミュニケーション力が低く、感情のコントロールが苦手な子もいます。そのままの状態で放置すれば、大人に怒られる失敗体験だけが積み重なり、子どもの自己肯定感が低下してしまうことも。子どもが抱える苦しみの原因を知り、心の負担を軽くしてあげるためにも、スクールカウンセラーに相談することは効果的といえます。
⑤成績が下がっている
子どもの成績が以前と比べて急激に下がってきた場合は、特に注意をしなければなりません。勉強に対する意欲が低下し、心に大きなストレスを抱えている可能性が考えられます。また、「勉強がわからない」、「聞いたことをすぐに忘れてしまう」などの訴えがある子どもは、学習障害などの問題が隠れていることも。
いずれにせよ、子どもの成績が急に悪くなったら、他の兆候はないか確認したうえで、スクールカウンセラーに早めに相談することが大切です。
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スクールカウンセラーは、子どもの心理に関する専門家。いわば「子どもの心のスペシャリスト」です。
そして、スクールカウンセラーは、子ども、保護者、教員、学校生活にかかわるすべての方の味方です。スクールカウンセラーに相談することで、問題に対する違う視点や考え方や、子どもや保護者にとって、新しい解決策が発見できる場になることがあります。
「悩みを誰かに話したい」と思ったとき、ぜひ相談してみてくださいね。
次回2回目では、親の悩みを相談することについて解説します。
監修・文/中井ようこ(メディペン)
スクールカウンセラー連載2回目を読む。
メディペン
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
中井 ようこ
小学校の養護教諭として15年間勤務。退職後は、公認心理師の資格を取得し、スクールカウンセラーとして従事。コロナ禍では800件以上の相談を受けた。アドラー心理学の知識も活かし、子どもや保護者の気持ちに寄り添ったかかわりを大切にしている。
小学校の養護教諭として15年間勤務。退職後は、公認心理師の資格を取得し、スクールカウンセラーとして従事。コロナ禍では800件以上の相談を受けた。アドラー心理学の知識も活かし、子どもや保護者の気持ちに寄り添ったかかわりを大切にしている。