絵本の編集長が大予測! 2025年「だじゃれ絵本」が日本を救う!!

絵本・児童書売り場に並ぶのは「おやじギャグ」か? 知育につながる「ことば遊び」か?

第17回 MOE絵本屋さん大賞2024

1位 大ピンチずかん2

鈴木のりたけ/作、小学館
2位 わすれていいから
大森裕子/作、KADOKAWA
3位 シカしかいない
キューライス/作、白泉社
4位 いちごりら
麻生かずこ/作 かねこまき/絵、ポプラ社
5位 ちょっぴりながもちするそうです
ヨシタケシンスケ/作、白泉社
6位 トドにおとどけ
大塚健太/作 かのうかりん/絵、パイ インターナショナル
7位 火の鳥 いのちの物語
手塚治虫/原作 鈴木まもる/絵、金の星社
8位 おすしが あるひ たびにでた
田中達也/作、白泉社
9位 パンダのおさじと ふりかけパンダ
柴田ケイコ/作、ポプラ社
10位 そそそそ
たなかひかる/作、ポプラ社
10位 くまたのびっくりだいさくせん
柴田ケイコ/作、白泉社

※書名、作者名、出版社名の順。上位11作品のみ掲載
これらの絵本が、来年、たくさん読まれるであろうと予想できます。

でも、私がつかみたいのは、「賞を受賞したから」という以外の、愛される絵本になる傾向なのです。

何かヒントはないものか……。

ランキング上位にある共通点が……

絵本の部署にやってきて1年半。たしかに初心者マーク付きの編集長ですが、この受賞結果をみまして、ある傾向に気がついてしまいました。ダテに1年半、過ごしていません。

あらためて、こちらのタイトルを見てください。
3位 シカしかいない
4位 いちごりら
6位 トドにおとどけ
見るだけでなく、本のタイトルを口に出して言ってみてください……。

……そうです、もう、おわかりですよね。

これってだじゃれ?

だって、表紙からして……。

見てください!
『シカしかいない』(キューライス/作、白泉社)。公園にも銭湯にもシカばっかり! ページの隅々まで描かれたシカが楽しい!
すべての画像を見る(全11枚)
『いちごりら』(麻生かずこ/作 かねこまき/絵、ポプラ社)。ゴリラがいちごをいっぱい食べたらどうなる? シュールな展開がクセに!?
『トドにおとどけ』(大塚健太/作 かのうかりん/絵、パイ インターナショナル)。トドに誕生日ケーキを届けたいカモメの前に次々とトドに似た動物が出現!?
タイトルのだじゃれが、カバーイラストと渾然一体となって読者を笑わせにかかっているじゃありませんか!

本の中にもちりばめられただじゃれ!

たしかに、タイトルがだじゃれになっていると、わかりやすく読者に届きそうです。

しかし、ストレートにだじゃれを伝える絵本ばかりではありません。
じつは、MOE絵本屋さん大賞には新人賞という部門もありまして、今回発表された新人賞の第1位に、『ぎょうざが いなくなり さがしています』(玉田美知子/作、講談社)が輝きました。
『ぎょうざが いなくなり さがしています』(玉田美知子/作、講談社)
この絵本、2024年には、第8回未来屋えほん大賞、第15回ようちえん絵本大賞など絵本にまつわる各賞に輝き、多くの子どもたちに読まれています。じつは、こちらの絵本も、だじゃれにまみれた一冊なのです。

絵本の内容はと言いますと、としおくんという少年が、

「ほんじつ ごご2じごろ おおばまち にらやまの ぎょうざが いなくなり さがしています」

「とくちょうは ひだが 5つある ひとくちサイズの やきぎょうざです」

という町内放送を聞いたのをきっかけに、どうしてぎょうざはいなくなったんだろうと、あれやこれやの妄想をふくらませるという物語で、としおくんの発想のままに動き回るぎょうざさんの姿がとにかくキュート! 多くのファンを獲得しています。

でも、タイトルを見ても、とくにことばで遊んでいるわけではなさそうですね……。

この絵本が、いかにだじゃれにまみれているかは、ページを開かないとわからないのです。

では、ページを開いてみましょう。みなさん、隠されただじゃれ要素を、見つけられるでしょうか?

ページのすみずみまで見てくださいね。
次のページへ 見つけられましたか? 答えは次のページ 
45 件