『100万回生きたねこ』の作者 佐野洋子の幻の名作絵本が新装版になりました

入手困難だった名作絵本を復刊。いま読みたい、戦わない王さまの話

幼児図書編集部

『新装版 ぺこぺこ』は、おとうさんが小さな子どもに語る、ユーモアあふれる物語です。

主人公は、おきさきさまや、自分が食べようとしている魚にまでぺこぺこしている王さま。

なんにでもぺこぺこしている王さまは、隣の国が攻め込んできても、ちっともあわてません。

いつものようにぺこぺこと戦い、だれひとり怪我をすることなく、戦争は終わるのです。


これには、いばりんぼのおきさきさまも、「あなたって すてき、ふんだ」というのです。

もしいま、こんな王さまがいたら……「王さまってすてき、ふんだ!」と言いたくなりますよね。

たくさんの人に、いま、読んでもらいたいお話です。
*全文公開は2024年7月31日で終了いたしました。
『新装版 ぺこぺこ』(作・絵:佐野洋子) カバー絵(一部)©︎JIROCHO, Inc.

『100万回生きたねこ』の佐野洋子が描くユーモアあふれる“平和”のお話

『新装版 ぺこぺこ』 
作・絵 佐野洋子 

 むかしむかし あるところに、おうさまがいた。
 
 そのおうさまは、ちっとも いばらなかった。

 まいにちおきると、おきさきさまに ぺこぺこ、

 けらいに ぺこぺこ、

 にわのくじゃくにも ぺこぺこ。


ちっともいばらない王さまは、
となりの国がせめてきても、いつものように、ぺこぺこ戦います。

兵隊は、ぺこりぺこりと頭をさげて、ぺこんと地面にはいつくばる。
お城もぺこりとおじぎをするので、敵の大砲もあたらない。

ひとりのけが人も出ないうちに、大砲のたまがなくなってしまいました。

ちっともいばらない王様は、「ごくろうさんでした。おつかれでしたね」といって、
せめこんできたとなりの国の王さまを食事にさそいます──


おとうさんが子どもに語る、ユーモアあふれる平和な王さまのお話です。

©︎JIROCHO, Inc.


*本書は1993年に文化出版局から発売になった同名の絵本の復刻版です。原画をあらたにスキャンをしなおし、色あざやかな一冊になりました。
さの ようこ

佐野 洋子

Yoko Sano
絵本作家・エッセイスト

1938年6月28日中国・北京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒業。 主な作品に『100万回生きたねこ』(講談社)、『おじさんのかさ』『おばけサーカス』(講談社・サンケイ児童出版文化賞推薦)、『すーちゃんとねこ』(こぐま社)、『わたしのぼうし』(ポプラ社・講談社出版文化賞絵本賞)、『だってだっての おばあさん』(フレーベル館)、『ねえ とうさん』(小学館・日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)などの絵本や、童話『わたしが妹だったとき』(偕成社・新美南吉児童文学賞)、さらに『神も仏もありませぬ』(筑摩書房・小林秀雄賞)、『役にたたない日々』(朝日新聞出版)、『シズコさん』(新潮社)、『死ぬ気まんまん』(光文社)、『佐野洋子対談集 人生のきほん』(西原理恵子/リリー・フランキー 講談社) などのエッセイ、対談集も多数。 2003年紫綬褒章受章、2008年巌谷小波文芸賞受賞。2010年11月5日72歳で逝去。 ©︎ JIROCHO, Inc.               

1938年6月28日中国・北京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒業。 主な作品に『100万回生きたねこ』(講談社)、『おじさんのかさ』『おばけサーカス』(講談社・サンケイ児童出版文化賞推薦)、『すーちゃんとねこ』(こぐま社)、『わたしのぼうし』(ポプラ社・講談社出版文化賞絵本賞)、『だってだっての おばあさん』(フレーベル館)、『ねえ とうさん』(小学館・日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)などの絵本や、童話『わたしが妹だったとき』(偕成社・新美南吉児童文学賞)、さらに『神も仏もありませぬ』(筑摩書房・小林秀雄賞)、『役にたたない日々』(朝日新聞出版)、『シズコさん』(新潮社)、『死ぬ気まんまん』(光文社)、『佐野洋子対談集 人生のきほん』(西原理恵子/リリー・フランキー 講談社) などのエッセイ、対談集も多数。 2003年紫綬褒章受章、2008年巌谷小波文芸賞受賞。2010年11月5日72歳で逝去。 ©︎ JIROCHO, Inc.