2021.06.17

子育て世代が知らない“進化系図鑑”の世界 図鑑マニアがブームを徹底解説!

図鑑マニア・斎木健一先生インタビュー 第1回/最先端の図鑑事情

寄稿家:斎木健一

トーク番組『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)では、“図鑑の世界”の案内人として出演された斎木健一先生。
写真:小松貴史

図鑑は、絵本や児童書とはまた違ったアプローチで、子どもの知識や興味を広げてくれるツール。ぜひとも子どもに読ませたいけれど、たくさんある図鑑の中から何を選べばいいのか、どう与えたらいいのか、悩んでしまう人も多いはずです。

そこで、1800冊以上の図鑑をコレクションする図鑑の識者で、「千葉県立中央博物館 分館海の博物館」分館長の斎木健一先生に、図鑑の楽しみ方・選び方をインタビュー。第1回は、図鑑の歴史と最新のトレンド、図鑑を読むことのメリットについて伺いました。

見るだけでワクワク! ビジュアル重視の図鑑が続々

――近年、ブームと言われている図鑑。特に2020年以降は、コロナ自粛の影響で売り上げがぐんと伸びているそうです。先生も<図鑑ブーム>を実感されていますか?

そうですね。昔はいわゆる学習図鑑しかなかったのが、ジャンルもテーマも格段に増えました。理由のひとつには、写真や印刷技術の進歩があると思います。昔の写真は文章が多く、線で描かれた絵が少し載っている程度。それが、だんだんモノクロ写真になり、カラー写真になり、絵もカラーになりました。

フィルムからデジタルの時代に入ると、拡大写真など、見せ方のバリエーションもより豊富に。読み手としても、難しい文章を“読む”より、ビジュアルで“見る”方が楽しいし、わかりやすいですよね。

フィルムの時代と比べて、写真が簡単に撮れるようになったことも影響しているでしょう。鳥のように、昔はプロの写真家しか撮れなかったような迫力のある写真を、今ではアマチュアがきれいに撮りますから。フィルムの時代は撮らなかったジャンルの写真でも、たくさん集めて揃えれば図鑑になります。写真の進歩は、非常に大きいと思います。

――なるほど。そもそも図鑑の定義とは、何なのでしょうか。

今、図鑑の範囲がどんどん広がっていて、ムック本やエッセイのタイトルにも<図鑑>と付いているものがありますよね。私としては、写真や絵があって、それぞれに解説が付いているものが図鑑かなと思っています。それぐらい広く捉えてもいいのかなと。

――それだけ、趣向をこらした図鑑が増えているということなのですね。

そうだと思います。実は、これほどさまざまな図鑑が出版されているのは日本ぐらい。世界的に見てもトップクラスです。昆虫図鑑に関していえば、<身の周りの生きものを知ろう>という、日本ならではの教育の影響かもしれません。日本では子どもの遊びとして一般的な虫捕りですが、海外にはそういった文化がないようで、虫捕り網は一部のマニアだけが持っているグッズなのだそうです。不思議ですよね。

――図鑑の歴史には、やはり教育が関係しているのでしょうか。

子ども向けの学習図鑑についていえば、学校教育、特に教科書との関係が深いと思います。昭和20年代の理科の教科書を開いてみると、生きもの単元は、絵があって解説があって、見た目はほとんど図鑑です。昭和30年代の学習雑誌の付録では、教科書の内容を膨らませてあり、絵のほかに写真も載っています。学習図鑑はこうした、教科書に準拠した<学習雑誌の付録>の発展形としてスタートしたようです。学習図鑑の編集・監修には必ず教育関係者が関わっていますし、理科の授業と深く関わりながら発展してきたのでしょうね。

斎木先生のコレクション。左は昭和22年の教科書、右は昭和32年発行の学習雑誌の付録。「神田の古本屋で見つけて狂喜乱舞しました(笑)」(斎木先生)
写真:小松貴史

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