2021.05.27

みんな、ぴったりのいすを見つけられるかな? 『おすわり どうぞ』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

著者:本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ーーおはなし隊隊長 岩田恵美子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

毛の一本一本まで細密に丁寧に描かれた動物たち。その愛らしい仕草や表情は、まるで人間の感情をまとっているかのようです。

「ね、 ぴったり。」のフレーズの繰り返しを楽しみながら、それぞれの動物たちのキャラクターをイメージし、語りかけてあげてください。

たんぽぽのお花やちょうちょが描かれていますが、主人公は動物たちなので、春以外の季節に読んでもあまり違和感はありません。優しさと、あたたかさを感じさせてくれるとても素敵な1冊です。

『おすわり どうぞ』
作:しもかわらゆみ 講談社

きのこにおすわりした、かわいらしいりすさん。近くには、白いちょうちょが飛んでいます。優しくタイトルを読みます。

表紙を開くと……、ちいさなまるいきのこが。その上空には、ちょうちょが飛んでいます。これからちょうちょが案内役のように姿をみせますので、指さして、印象つけてあげると良いと思います。ちょうちょと比較すると動物の大きさもイメージできますね。

扉ページに描かれていたきのこに、ちいさなねずみさんが、ちょこんとすわりました。ちょうちょは、お花にとまっています。ねずみさんときのこが、一体になったような、ぴったりのいす。

「ね、ぴったり。」のフレーズは、子どもたちの方を向いて、語りかけるように言ってあげるといいですね。ちょっと指さして、ちょうちょもいることを知らせてあげてから、ページをめくります。

ねずみさんは、きのこのいす。
『おすわり どうぞ』より

りすさんのいすは、ねずみさんよりもおおきな、のっぽのいす。
りすの独特な、すばやい動きをイメージして、「ひょい」と、飛び乗った感じを出してみましょう。何か抱えているような手の感じが、かわいいですね!

たんぽぽのお花に囲まれた切り株にすわったうさぎさん。「ふわりと」すわっています。ふわふわのたんぽぽのお花も、うさぎの柔らかな毛並みもふわりという感覚につながりますね!

耳が前後を向いています。後ろを向いた耳は、ちょうちょの気配を感じているのでしょう。ちょうちょが少し小さく見えます。

うさぎさんは、おはないっぱいのいす。
『おすわり どうぞ』より

ゆれるたんぽぽのお花が、かえるさんのいす。ちいさなかえるがジャンプして飛び乗った、軽い感じの「ぴょん」ですね! ちょうちょもお花にとまりました。かえるさんとちょうちょは、同じくらいの大きさです。

ぱっぱを積み上げたクッションは、丸みをおび、本当に「こんもり」という感じがします。ゆっくり読んであげると雰囲気が伝わります。蓋でもかぶせるように乗っかっていて、可愛らしいですね! ちょうちょは飛んでいきました。

丸太の切り口のふちに、お行儀良く、手足を揃えて腰かけたきつねさん。大きさの対比で、ちょうちょがとても小さくなりました。

そこへ、しかさんと、いのししさんがやって来ました。会話の部分は、元気良く読んでみましょう。仲の良さが伝わります。ちょうちょは、高い空から、みんなの様子を見ているようです。

きつねさんは、丸太からおりて、手をかけました。どうするのかな? 想像させるように、ゆっくりめくります。

丸太を横にして、仲良くくっついてすわった、満足そうな動物たちの表情。特に、ぎゅっとはさまれたきつねさんが、目を細めてとてもうれしそうです。文字通り「わあ、ぴったり」です。うれしそうに、ちょっとおおげさに、言ってみましょう。ちょうちょがとても小さく見えます。

ことりが飛んできました。「ぱたぱたぱた」が2回、繰り返されていることで、2羽飛んで来たことを知らせます。ちょうちょはいなくなりました。羽ばたく音にびっくりしたのでしょうか。

色とりどりのことりたちが、しかの角に並んでとまりました。「ね、ぴったり」と読み終えたら、次の場面でおしまいなので、「たくさん来たね!」「何羽いるのかな?」「いろんな色だね!」など、子どもたちと会話しても楽しいですね。子どもたちも絵を細かく丁寧に見てくれます。

こんなぴったりのいすも!
『おすわり どうぞ』より

それぞれぴったりのいすを見つけた動物たちの集合です。

楽しそうな動物たちの様子をゆっくり見せてあげて、元気良く「さあ、みんなであそびましょう」と語りかけてあげましょう。

うさぎさんのたんぽぽにかえるさんがいたり、しかさんが腰をかがめ、ことりたちをみんなの近くにしてあげていたり……、ほのぼのとした様子に心が和む場面です。ちょうちょは? あれあれ、2ひきいますよ!

離れて飛んでいた2ひきのちょうちょも、タンポポのお花に仲良くとまりました。ぴったりのいすを見つけたみたいですね! 2ひきのちょうちょも、まちあわせかな? ことばはありませんが、ゆっくりと見せてあげてからゆっくり本を閉じてください。裏表紙も同じ絵です。余韻を楽しませてあげましょう。

シリーズには、『ぽつぽつぽつ だいじょうぶ?』もあります。ねずみさん、うさぎさん、かえるさんたちが登場しています。ねずみさんの傘は、誰のいすににてるかな? というような発見もありますので、ぜひ読んでみてください。

冬には、雪の中で繰り広げらる動物たちと流れ星のお話『ほしをさがしに』が、おすすめです。心洗われる素敵なお話を、美しい絵でたっぷりと味わってみてください。

●今回読んだ本

『おすわり どうぞ』
作:しもかわら ゆみ 講談社

●プラス1冊

山の大きな木のなかに、ごちそうするのが大好きなうさぎがすんでいました。そこへ、りす、あかねずみ、あさぎまだらなど、つぎつぎと動物たちがあらわれて……。

『ごちそう たべに きてください』
作:茂市久美子 絵:しもかわらゆみ 講談社

著者紹介

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!

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Twitter:@ohanashitai55