2021.03.04

『つかまえた!』 読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 佐々木貴美子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

「たんぽぽのわたげ」を「てんとうむし」がつかまえて、その「てんとうむし」を「とかげ」がつかまえて……。好きなものをどんどんどんどんつかまえて……。そして、最後にみんなをつかまえるのは、だれかな?

小さなものから大きなものへ「つかまえる」「つかまえられる」、シンプルだけど、それぞれの思いがいっぱいつまった行為。それをくり返していくこの絵本は、声に出して読むといっそう体感が増します。

『つかまえた!』
作:鈴木まもる 講談社

最初に「つかまえられる」のは、「たんぽぽのわたげ」……。その最初のきっかけを作ったのは……。 扉の男の子が「たんぽぽのわたげ」をふーっと吹いてとばすところをしっかり見せます。一緒にいるねこの視線もわたげを追っています。

たんぽぽのわたげを吹く男の子『つかまえた!』より

「たんぽぽのわたげ」は小さいけれど、最後は生命の起源にまでさかのぼるような、大きな大きな旅のはじまりです!

「たんぽぽのわたげ」や「てんとうむし」、小さなものは、軽く指で指してあげると、後方の子どもたちにもわかりやすいですね。くり返しの「つかまえた!」は、好きなものを「つかまえる」という楽しい気持ちを表現しながら、そして、次ページへの展開の楽しさをつないでいきながら、リズムよく読んでみましょう!

「つかまえた!」と思ったら、今度は自分が「つかまえられて」、それが次々につながっていくテンポの良さ、リズムが、読み聞かせを一層楽しくしてくれます。

そして、よ~く見てみると、次に「つかまえる」動物(もの)の影が左の隅に見えています。それを心の中で感じながら、次に○○が来るぞ~と思いながら読むと、展開がよりスムーズです。

左に見える影は?『つかまえた!』より

また、「つかまえた」時の擬態語が、「つかまえられる」動物(もの)によって、そして、その動物の大きさによって、異なっています。擬態語の面白さは、この本の大きな魅力のひとつ! 読み進めていくうちに、動物が大きくなるにつれて、擬態語の文字もどんどんどんどん大きくなっていきます。文字の大きさに合わせて読み方や声の大きさを変えると、よりイメージが膨らみます。

「おとうさん」が出てくるまでは、日常の想定内。
でも、その次にくるのは……、なんと「くま」。おおきな「くま」の登場で、子どもたちのテンションも次第に高まっていきます。

くまさん登場!「つかまえた!」より

「くま」でおしまいかしら?
と言いながら、少しページをずらして見せてあげます。予想外の「ぞう」「くじら」の登場で、さらに子どもたちのテンションは上昇!

「おかあさん!!」。子どもたちは大喜びで元気よく答えてくれます。

「よーいしょ!」と、「たんぽぽのわたげ」から「くじら」まで、みんなをつかまえた力強い「おかあさん」に子どもたちのテンションも最高潮! 「おかあさん すごーい!」の声があちこちから聞こえてきます。

くじらをつかむおかあさん『つかまえた!』より

最後にもう一度ゆっくり表紙を見せてあげます。
てんとうむし→とかげ→ねこ→男の子→くま→お父さんと、順につかまえていることが改めて確認できて、子どもたちの心に「つかまえた!」のおはなしが、より深くじんわりと届きます。

●今回読んだ本

『つかまえた!』
作:鈴木まもる 講談社

●プラス1冊

びっくりさせて ごめんね。空からふってきたものは、いったい……?

『ふってきました』
文:もとしたいづみ 絵:石井聖岳 講談社

「全国訪問おはなし隊」ってなあに?

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!