2022.02.18

ブックマーク

愛子さまの「心と体の成長」のため天皇陛下と雅子さまが心がけていらしたこと

愛子さまご成人 天皇陛下と雅子さまの子育てをふりかえって

皇室ジャーナリスト:渡邉 みどり

三の丸尚蔵館で、「更科日記」をご覧になる愛子さま。白いお襟にあふれる気品。 写真提供/宮内庁

2021年12月1日に成人となられた天皇陛下と皇后雅子さまの長女・愛子さま。

60年以上にわたって皇室の取材を続けてきた、皇室ジャーナリストの渡邉みどりさんに、陛下と雅子さまの愛子さまへの子育ての考え方についてご寄稿いただきました。


以下の本文、キャプションでは、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名などは、その当時のものを使用しています。

運動神経もばつぐんな愛子さま。お父さま、お母さまに見守られてこんなことも。2004年11月、東宮御所の御内庭にて。写真提供/宮内庁

人を愛し愛される人間になるためには、まず親が子を愛情を込めて育てること

書き初めもお得意。2005年1月、東宮御所にて。写真提供/宮内庁

2005年2月、皇太子さま(今の天皇陛下)は誕生日の記者会見で子育てについて述べられました。愛子さまに関する部分で、皇太子さまは「心」と「体」の2つの成長についてふれられたのです。

当時、愛子さまは3歳。父親としての正直なお気持ちを込めた皇太子さまのお言葉は、大きな反響を呼びました。

皇太子さまは「心の成長」に関して、こうおっしゃいました。

「愛子の名前のとおり、人を愛し、そして人からも愛される人間に育ってほしいと思います。それには、私たちが愛情を込めて育ててあげることが大切です」

そして、最近非常に感銘を受けたという詩を朗読されました。それは、スウェーデンの中学校の教科書に掲載された、アメリカの家庭教育学者ドロシー・ロー・ノルトがつくった「子ども」という詩でした。この詩は多くの人々の感動を呼び、とりわけ大きな話題となったのです。ここで一部ご紹介しましょう。

  
「子ども」
ドロシー・ロー・ノルト 作

(略)

友情を知る 子どもは
親切を おぼえる

安心を経験した 子どもは
信頼を おぼえる

可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる

(『あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書』〈著:アーネ・リンドクウィスト ヤン・ウェステル 訳:川上邦夫 新評論〉収録 詩「子ども」より一部抜粋)

朗読に続けて、皇太子さまはこう語られました。

「子どもを持ってつくづく感じますが、この詩は、人と人の結び付きの大切さ、人を愛することの大切さ、人への思いやりなど今の社会でともすれば忘れられがちな、しかし、子どもの成長過程でとても大切な要素を見事に表現していると思います。……家族というコミュニティーの最小の単位の中にあって、このようなことを自然に学んでいけると良いと思っております」

年齢の異なる子どもたちとふれあいながら成長を促す

同世代の子どもたちと造形を楽しむ貴重な時間。 2005年6月、青山にあった児童施設「こどもの城」にて。写真提供/宮内庁

皇太子さまは、愛子さまの「体の成長」についてもお話しなさいました。

「……愛子にはいろいろな経験をさせたいと思います。私自身、幼少のころから両親である今の両陛下にいろいろな場所に連れて行っていただき、そのなさりようを見ていたことが、今日でもとても良かったと思っております。その意味でも、愛子が公務を始めるというのではなく、私たちがやっている姿を見せることも大切と考えます」

そして、3歳の愛子さまは社会性を身に付けていく時期とおっしゃいます。挨拶や「いただきます」「ごちそうさま」「ありがとう」といった日常生活の中での言葉を大切にされているのです。

同世代の子どもたちと音楽活動を楽しむ愛子さま。2005年9月、青山にあった児童施設「こどもの城」にて。写真提供/宮内庁  

実際の学びのためには、子どもたちとのかかわりを大切にされているといいます。

「幸い、年齢の異なるお友達にも恵まれて、リトミックの先生方のご指導を得て、生活における簡単なルール、例えば列を作って順番を守ることなど少しずつ身に付いてきていると思います」

粘土細工を楽しむ愛子さま。2005年10月 この年は、定期的に「こどもの城」に通われ、同世代の子どもたちとの交流を深められた。写真提供/宮内庁

愛子さまがリトミックの指導を受けていることは、以前から知られていました。その雰囲気を垣間見られるものとして、2004年9月に、2歳の愛子さまがダンスを楽しむ様子がビデオで公開されています。

リトミックとは、スイスで生まれた音楽を聴き体を使って感じる音楽教育で、音楽的な能力ばかりでなく、注意力や集中力、社会性や協調性などの人が生きるために必要な能力を育てていこうとするものです。

日本の子どもたちには『窓ぎわのトットちゃん』(作:黒柳徹子 講談社)に登場するトモエ学園の小林宗作先生と、うちわ太鼓を用いた独特の指導で有名な天野蝶先生が広めました。私が早稲田大学在学中に教育実習で私立女子聖学院に行っていたとき、天野先生がリトミックの指導をされていて、その授業を見学したり、直接お話を伺ったものです。

ビデオの中で、愛子さまは雅子さまと手をつないでダンスをされています。愛子さまはリズム感がよく、反応も速いのです。雅子さまと手をつないで軽やかに踊り、ダイナミックな動きを見せる愛子さま。赤いスパッツを履かれて、階段をジャンプして上がる姿は、運動神経の発達をうかがわせます。

このご様子がリトミックの成果なのだろう、と私は感じました。

笑顔で愛子さまを見守る皇太子殿下と雅子さま。2005年11月、東宮御所、御庭内にて。写真提供/宮内庁

この日、ビデオのほかに写真も公開されました。その中の1枚に、東宮御所の花壇でご両親と一緒に花を植えている愛子さまのお姿もありました。それは、健やかな成長を感じさせる写真でした。

こうして、愛子さまはご両親に見守られ、日ごとに愛らしさを増していかれたのです。

(構成・編集協力/高木香織)

わたなべ みどり

渡邉 みどり

Midori Watanabe
皇室ジャーナリスト

皇室ジャーナリスト、文化学園大学客員教授。早稲田大学卒業後、日本テレビ放送網に入社し報道情報系番組を担当する。1989年の昭和天皇崩御...

たかぎ かおり

高木 香織

Kaori Takagi
編集者・文筆業

出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言...

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