2021.06.25

ブックマーク

「世界一子どもが幸せな国」オランダから学ぶ 日常の中の“多様性&フレキシビリティ”

海外の子ども・生き方がわかる! 世界の子育て01「オランダ」前編 親から子へ幸せの連鎖の理由

阿部 真奈美

多様性を認め、個々の幸せを追求できるよう、オランダという国が目指している柔軟な社会とは?
画像提供:駐日オランダ王国大使館
© Rijksoverheid / オランダ政府

子育ては、当然ながら個人や家庭によって異なります。子どものイベントも、住んでいる地域独自の風習や伝統があり、その違いに驚くことも珍しくありません。
「世界の子育て」では、各国駐日大使館に、その国ならではの家族のあり方や子育て事情を取材。「あの国ではこんな子育てを!?」という、新たな発見や楽しさをお届けしつつ、さまざまな国の実情と日本の“イマ”を照らし合わせ、小さな気付きをお届けできたらと思っています。

第1回目は、オランダをレポート。話を伺うと、「多様性」「フレキシビリティ」と切っても切れないオランダの姿が見えてきました。

「結婚」以外にも法的に認められる「登録パートナーシップ」 そして「同棲協定」

オランダは、「世界一子どもが幸せな国」(※ユニセフ報告書「レポートカード16」、先進国の子どもの幸福度をランキング2020年)と言われている国です。ちなみに同調査では日本は調査対象38ヵ国中の20位。
どういう環境で育てられたら、子どもは幸せだと感じるのだろう? その謎を解くべく、駐日オランダ王国大使館の全権公使、テオ・ペータスさんに話を伺いました。

2019年~現職に就いたテオ・ペータス全権公使。日本で修士課程を修了しており、取材にも流暢な日本語で応じてくれました。「毎日食べたいくらい、そばが大好き。もちろん、すすって食べられますよ」
画像提供:駐日オランダ王国大使館

オランダの夫婦や家族にまつわる話をする場合、まずオランダ人の「結婚」への意識について触れないわけにはいきません。なぜならその有り様が日本とは大きく違うからです。

「多くのオランダ人は、結婚というカタチにこだわっていません」(ペータス全権公使)。

オランダには、カップルの関係性を法的に承認する手段として、「結婚」と「登録パートナーシップ」があり、さらにそれらとは異なる「同棲協定」という制度もあります。

「日本と同様、結婚と登録パートナーシップはカップルの間に権利や義務が生じます。
同棲協定は、愛し合うパートナー以外にも共同生活をしている相手なら誰とでも結べるもの。家の中にある家財道具は誰の物なのか、家賃や光熱費等の生活費はどう折半するのか等を、はっきりさせるために結びます」(ペータス全権公使)。

日本で、結婚前に同棲するカップルがいるように、オランダでも同棲協定を経て結婚、登録パートナーシップに進む人も多いといいます。

「誰かと一緒に暮らすときのスタイルは、人それぞれです。国としては、その多様性に応えられる制度を整備し、できるだけ国民が望む生活を送ってほしいと考えています。結婚、登録パートナーシップも、男女間だけのものではないですしね」(ペータス全権公使)。

そうなのです、オランダは2001年に世界で初めて、同性婚を合法化した国。当然、「結婚」「登録パートナーシップ」は、男女でも同性間でも可能です。

異性カップルと同じく 同性カップルでも親になれる柔軟なシステム

「結婚」ひとつ取っても、日本とは大きく違うオランダなので、数字を同じ目線で比較することは難しいですが、ここで夫婦や子どもにまつわる両国のデータを紹介しましょう。

【平均初婚年齢】
オランダ:男性34.4歳、女性31.9歳
日本:男性31.2歳、女性29.6歳 

【離婚率】
オランダ:36.7%
日本:約35%
※日本のデータは百分率ではないため、婚姻件数と離婚件数より算出

【第一子出生時平均年齢】
オランダ:男性32.8歳、女性30.0歳
日本:男性32.8歳、女性30.7歳 

【合計特殊出生率】
オランダ:1950年3.97→2019年1.57
日本:1950年3.65→2019年1.36
※1人の女性が生涯に出産すると見込まれる子どもの数

※いずれの項目も、オランダのデータはオランダ中央統計局による調査(すべて2019年のもの)、日本のデータは2019年厚生労働省「人口動態統計」より。

「オランダでは、男女だけでなく、同性カップルも子どもを授かるケースがあるので、いろんなタイプのカップルが親になるためのシステムがあります。さまざまな条件をクリアしないといけませんし、女性同士と男性同士のカップルでは、厳密には手続きが異なります。ですが、どんな人、どんなカップルにも平等に、「自分が親だ」と意思表示をして、親になるための解決策があるんです」(ペータス全権公使)。

そして、こう続けます。

「結婚でも出産でも、キーとなるのは『フレキシビリティ(柔軟性)』。個人個人の状況に応じて柔軟に、自らの幸せを追求できるということです」(ペータス全権公使)。

それがオランダ国民の望んでいることであり、政府も国を挙げて目指す方向なのでしょう。

「同棲協定を結んだカップルが子どもを持つ場合もあります。どんな暮らしが自分たちにはベストなのか。国民には、それを自由に選ぶ権利があるんです」とペータス全権公使。
画像提供:駐日オランダ王国大使館
© Rijksoverheid / オランダ政府

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