絵本ナビ編集長がおすすめする 4歳の子どもが読むのにぴったりな絵本

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第8回

磯崎 園子

自分一人の想像を超えて

そんな我が道を行く彼らだが、一方で園生活となると、たくさんのお友だちとの関わりが生まれてくる。同じ年齢とは言え、性格も成長度合いもばらばら。衝突があったり、仲間はずれが起きたりすることもあるだろう。そんなやりとりを、愛らしいくれよんの姿に託して丁寧に描き出しているのが、「くれよんのくろくん」シリーズ(なかや みわ・作・絵 童心社)だ。
「くれよんのくろくん」シリーズ
1作目の『くれよんのくろくん』では、色の個性が少し強すぎるくろくんの存在をめぐって、ケンカをしてしまう仲間たち。けれど、シャープペンのお兄さんの的確なアドバイスのおかげで、驚きの展開へとつながっていく。さらに、シリーズを通して不思議な友だちに出会ったり、知らない感情を味わったり。気が付けば物語の中でくろくんたちは、小さいしろくんの面倒を見る「お兄さん」の存在になっている。
「くれよんのくろくん」
『なきむしようちえん』(長崎 源之助・作 西村 繁男・絵 童心社)のみゆきちゃんもまた、泣いてばかりいたり、先生を困らせたりしながらも、みんなと一緒に遊んだり、行事を経験していきながら、少しずつ嬉しい成長を見せていく。

もちろん、現実では同じように上手く行くとは限らない。人間関係の悩みの入り口に立つこともあるだろう。それでも、絵本は4歳児の成長に寄り添いながら、いつでも存在してくれている。
「なきむしようちえん」
みんなで一緒に好きなことをとことん探究できてしまうのは、園のいいところ。『おおきなおおきな おいも』(市村 久子・原案 赤羽 末吉・作・絵 福音館書店)では、土の中で大きくなったおいもを想像しているうちに、みんなで紙に描いてみることに。

大きな紙をどんどん貼り合わせ、絵の具で描いたおいもの、大きいこと、大きいこと。先生もびっくり仰天。さあ、そこからどうやって幼稚園に運んで食べようか。ヘリコプターやプールまで登場して、子どもたちの空想はとまらない。自分一人の想像をはるかに超えた大きな大きなおいものインパクト。その驚きと喜びはずっと忘れることはないでしょうね。
「おおきなおおきな おいも」
さて次は、見る力、考える力がついてくる5歳のお話。いよいよ自分の言葉を使えるようになってくる彼らは、どんな風に絵本を楽しむのでしょう。お楽しみに!
※この記事は、「こどもの本」2021年5月号~2022年6月号に連載された「絵本と年齢をあれこれ考える」のWeb記事版です。
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いそざき そのこ

磯崎 園子

絵本ナビ編集長

1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/

1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/