絵本ナビ編集長がおすすめする 4歳の子どもが読むのにぴったりな絵本

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第8回

磯崎 園子

絵本と年齢をあれこれ考える「彼らは小さな探究者」
絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイです。

第8回目は、4歳児と絵本の後編「彼らは小さな探究者」。

とまらない好奇心

あ、また。息子が黙って指をさし、この道を曲がれという指示を出す。保育園まであと少し、できればまっすぐ進みたい。時間が迫っている。それでも指をさした方向が気になって、自転車のスピードを落とし道を曲がると、そこに現れるのは工事現場。
さまざまな世界に触れる
うむむ、やはりそうだったか。確かに昨日もここを通った。そしてその先にもう一ヵ所現場があったはず。そこではそれぞれ違う重機が働いている。なるほど……などと感心している場合ではない、今日もまた遅刻。こうして保育園への行き帰り、行きつけの場所が増えていく。
4歳児の関心はこれだけでは終わらない。駅へと続くまっすぐの道。普段なら10分で通りすぎるはずなのに、今日はかれこれ30分は歩き続けている。
好奇心いっぱいの4歳児
なぜなら立ち並ぶ街路樹の幹に止まっているセミを見つけては、瞬間的に手を伸ばし、見事に素手でつかまえて、私に見せては空へと放つ作業に忙しいからだ。なんて技だ、街路樹はまだまだある。

公園に行けば、いつの間にか友だちになったノラネコと会話をしているし、握りのちょうどいい木の枝を拾ってきては、部屋の中に積み上げる。宝箱は石やネジでいっぱいだ。彼は小さな探究者と化している。

ただ眺めているのではなく

この頃の絵本の読み方だって、また同じ。床に広げられた絵本。何をじっと見ているかと思えば、画面いっぱいに並ぶ様々な形をしたパン。かにパン、うさぎパン、パンダパンに始まり、バイオリンパン、テレビパン、じどうしゃパンまで、その数なんと80種類以上。

かこさとしさんの名作『からすのパンやさん』(偕成社)だ。子育てに追われ、経営の危機に直面したパン屋が家族一丸となって乗り切っていくその物語も感慨深いが、4歳の子どもたちが圧倒的に時間をとって眺めているのは、やはりこの場面だ。
「からすのパンやさん」
「バムとケロ」シリーズの絵本を読んでいる時も、また似たような目をしている。
「バムとケロ」シリーズ
例えば『バムとケロのおかいもの』(島田 ゆか・作 文溪堂)に登場する市場のお店に置いてある雑貨の一つ一つや、あらゆる場面で動き回っている小さなキャラクターたち、そしてバムとケロが暮らす部屋の家具一つ一つまで。

じっと見ていたかと思えば、何かをぶつぶつ言っていたり、ページを行ったり来たりしていたり、シリーズの他の絵本まで引っぱり出してきて。何かを比べたり、確認したり、発見したりしている。どうやら、彼らはただ眺めているのではなく、絵本の中の世界を丹念に探索しているのだ。
「バムとケロのおかいもの」
この頃の子どもたちが「ミッケ!」シリーズ(ジーン・マルゾーロ・文 ウォルター・ウィック・写真 糸井 重里・訳 小学館)や「どこ?」シリーズ(山形 明美・作 大畑 俊男・撮影 講談社)のような探し絵本に夢中になっていくのも、なんだか納得してしまうのである。
「ミッケ!」シリーズ
「どこ?」シリーズ

さらに広く、さらに深く

そんな小さな探究者たちにとって、面白くないわけがないのがこんな絵本。

『わゴムは どのくらい のびるかしら?』(マイク・サーラー・文 ジェリー・ジョイナー・絵 きしだ えりこ・訳 ほるぷ出版)。主人公の男の子が試しているのは、わゴムが一体どこまでのびるのかという実験。

部屋のベッドの枠にわゴムを引っ掛け、家の外へ。それだけでも驚きなのに、彼はそのまま自転車に乗り、バスに乗り、汽車に乗り、とうとう……!?
「わゴムは どのくらい のびるかしら?」
「だめだめー!そんなに伸びないよー!と大騒ぎ」「ページをめくる度に興奮している」などと絵本ナビに寄せられるレビューに微笑ましい気持ちになりながら、でもどこかで「上手くやれば実現できるのかもしれない」なんて静かに考えている子もいるのでは、とも想像してしまう。
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