絵本ナビ編集長がおすすめする 5歳の子どもが読むのにぴったりな絵本

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第9回

磯崎 園子

現実では結構大変

一方で、見る力、考える力がついてくる5歳の頃だからこそ、現実の世界での悩みは増えていく。わがままを言ってみたり、口ごたえをしてみたり、親の立場からすると少し心配になるのもこの時期だ。

保育園・幼稚園では年長クラス。気をつかうようになったり、友だちとのケンカが増えたり。だからこそ、ごちゃごちゃになっている気持ちを整理してくれるような絵本の役割は大きくなっていく。
「ねむりどり」
心地よい眠りの世界へ飛び立つには準備が必要と教えてくれるのは『ねむりどり』(イザベル・シムレール・作 河野 万里子・訳 フレーベル館)。その優しい語りかけに耳を澄ませ、気持ちよさそうな絵にうっとりしているうちに、心が静かになり、そのまま夢の時間へとつながっていく。
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
『だいじょうぶ だいじょうぶ』(いとう ひろし・作・絵 講談社)や『ぼちぼちいこか』(マイク・セイラー・作 ロバート・グロスマン・絵 今江 祥智・訳 偕成社)、『いいから いいから』(長谷川 義史・作 絵本館)などのように、くりかえされる言葉がそのまま子どもたちの心を励まし、力づけてくれる絵本の存在も見逃せない。
この頃の子どもたちには、なるべく多くの種類の絵本に出会い、その世界を広げていってもらいたい。そして、その選び方や読み方を尊重してあげるのも大切なポイントなのである。
「ぼちぼちいこか」
「いいから いいから」
5歳から6歳へと続く先には小学校という大きな壁があり、子どもたちの様子もがらりと変わっていくだろう。

絵本なんて卒業しなさい、と言われてしまう子もいるかもしれない。でもちょっと待って。小学生が読むからこそ味わえる絵本はたくさんあるのです。

次回は6歳以上と絵本について。お楽しみに!

※この記事は、「こどもの本」2021年5月号~2022年6月号に連載された「絵本と年齢をあれこれ考える」のWeb記事版です。
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いそざき そのこ

磯崎 園子

絵本ナビ編集長

1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/

1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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