子どもへのテレビや動画の正しい見せ方は? 発達心理の専門家が回答
こんなときどうする? 子育てQ&A#63「テレビや録画番組などは、一日、どれぐらい見せていいですか?」
2022.06.03
教育学博士:渡辺 弥生
では、なぜ長時間視聴はよくないといわれているのでしょうか?
「 テレビや録画番組などは、一日、どれぐらい見せていいですか?」(1歳・女の子)
今のうちから、よい習慣を身につけさせてあげよう
現代はテレビだけではなく、PCやスマホ、タブレットなどでネット動画を視聴できる機会が子どもたちの周りにあふれています。
2歳ごろになると、PCなどのアイコンを見て、自分で動画ページを開いて視聴する子どもも出てきています。
それだけに、視聴時間をはじめ、テレビや録画番組などに接するときのよい習慣を今から身につけさせてあげることが大事です。
テレビの長時間視聴がいけない理由
テレビの視聴自体が悪いわけではないですが、受動的な遊びです。
子どもは、能動的で社会的、そして身体的な遊びから、実にたくさんのことを学んでいきます。
ものに働きかける遊びで創造力を伸ばし、運動遊びで体を強くし、人と関わる遊びで社会性を育むなど、さまざまな遊びが子どもの栄養になっているのです。
とくに、子どもは動画を見はじめると、次々と続けて見たがる傾向があります。
それをコントロールしてあげることが大切なのです。
テレビとの上手な付きあい方
テレビ番組などには、子どもの好奇心や楽しさを引き出すものがたくさんあります。
また、生活習慣のお手本になるものや、道徳性を養うのに役立つ内容のものもあります。
一方で、暴力的だったり、人をばかにするような場面が含まれた番組も少なくありません。
子どもがそれをまねしたり、ショックを受けたりすることは避けたいものです。
番組は、親が選んで、できれば録画しておき、時間の区切りをつけて見せてあげるとよいでしょう。
ポイント2 つけっぱなしにしない。
時計がわりにテレビをつけっぱなしにするのはやめましょう。
音や光の刺激が続くのは脳や神経の働きにマイナスです。
見終わったら消すという習慣で、子どもの目や神経を休ませましょう。
親が視聴したい番組は録画して、子どもが寝たあとなどに見るのがおすすめです。
ポイント3 できれば親子一緒に。
子ども向けの、たとえば「赤ずきんちゃん」のような内容でも、子どもは「オオカミの乱暴な場面がおもしろい」と感じてしまうかもしれません。
1~3歳は、まだ判断力がないので一緒に視聴し、「乱暴はいけないね」「助かってよかったね」などと言葉を添えてあげてください。
生活に賢く取り入れて楽しませましょう
忙しい毎日ですから、そういう時間があってもしかたありませんね。
ただ、それに甘えすぎないことも大切。
その時間に、なにか危険なことがおこる可能性はゼロではありません。
完全に目を離さないようにし、よい内容のものを選んであげてください。
大事なのは、できるだけいろいろな遊びを楽しませること。
そのごく一部にテレビを見る時間をつくってあげたらいいでしょう。
ママやパパのサポートで、テレビ視聴が子どもの楽しみや、心を豊かにするものにつながるようにしてあげたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。