子どもが人見知りや場所見知りしすぎで心配 発達心理の専門家が回答 

こんなときどうする? 子育てQ&A#60「人見知りや場所見知りをして、私にくっついてばかりで心配です」

教育学博士:渡辺 弥生

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人見知りしないで、だれにでも家にいるときのように明るい子でいてほしい!

そう思うのは、ママパパの自然な気持ちですね。


人見知りは健全な成長の証で、程度の差はありますが、どの子もみんな通る道です。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「 人見知りや場所見知りをして、私にくっついてばかりで心配です」(3歳・女の子)

人見知りや場所見知りをして、私にくっついてばかりで心配です 写真/Adobe Stock

心配しないで。この時期はすぐに通りすぎていきます

1~3歳では、よその人に出会ったり、慣れない場所にいくと不安になってママパパから離れられなくなる子は少なくありません。

それが少々激しくても、恥じることでも気に病むことでもないのです。

個人差はありますが、3歳をすぎると徐々におさまっていくので安心しましょう。
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人見知りや場所見知りをする理由とは

人見知りをするのは、生まれてからずっと愛情をかけて大切に育ててきたからです。

ママパパは自分にとって特別な人で「この人なら安心」という絆ができた証拠。

そのママパパを安全基地にして、少し離れては、また戻り、安心したらまた少し離れるというようにして、徐々に自分の世界を広げていきます。

発達でいうと0歳後半くらいから始まって、1~2年くらい続きます。

知らない場所に不安を感じるのも、家庭が温かな安心できる場所だとわかっているためです。

ただ、子どもによって、この期間や、その表れ方に個人差があります。

これには生まれながらの気質が関係しています。

気質というのは性格とはまた別のものです。赤ちゃんのときから音や温度などの環境の変化に敏感だったりしてよく泣く子がいれば、何にでも慣れやすい子がいるのもそれが理由だったりします。

そういう気質の違いから「うちの子、ちょっと手がかかるなあ~」と感じてしまうママパパもいるでしょう。

でも、それは子どもが悪いからでも、親ごさんの育て方に問題があるわけでもありません。

そういうタイプだと割り切って、温かな目で子どもの成長を待ってあげていいものです。

この気質は、年齢が低いほど表れ方が顕著なので、ママパパはもうしばらく大変ですが、成長につれてさまざまな環境のなかで自然と修正されていくもの。

小さなころに物慣れが悪かった子が、成長後は積極的に行動できる人になることは多いのです。

また、脅すような言葉遣いも避けましょう。

たとえば、「そんな悪い子はうちの子じゃない」「そんなことをする子は大嫌い」など。

子どもはショックなだけで、そこからはなにも学べません。
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こんなときどうする?ケーススタディー

■友だちとなじめない

1~3歳は「並行遊び」の時代で、子ども同士で隣り合って遊んでいてもコミュニケーションはとれないのが普通です。

公園などで、ほかの子が関わってくると、ママパパのところに戻ってきてしまうというような場合がありますが、気にしなくて大丈夫です。

ママパパも一緒に遊びながら、よその子に声をかけたりしていれば、時間はかかっても、しだいになじんでいきます。

■習い事に慣れない

子どもにはいろいろな個性があるので、3~4歳までは焦ることはありません。

無理をして突き放せば慣れるというものではないし、逆によけいママパパと離れられなくなることもあります。

激しく嫌がるときは計画を先にのばすほうが、この時期を早く抜けることができるでしょう。

■よその人にあいさつができない

不安な気持ちに加えて恥ずかしさも出てくる時期なので、背中を押すのは逆効果。
 
人と会うのが嫌いになる可能性もあります。

1回くらい「あいさつができたらよかったね」と伝えるのはいいですが、今は家族がお手本を見せる時期と考えていましょう。

親ごさんが周囲の人たちとあいさつをしたり、会話したりしているのを見ながら徐々に安心して、社会性を身につけていきます。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
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わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

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げんき編集部

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