子どもの教育方針はいつどう決めるべき? 発達心理学教授が答えます

こんなときどうする? 子育てQ&A#64「子育て方針って、どう決めて、何から始めていけばいいの?」

教育学博士:渡辺 弥生

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「おたくの子育て方針は?」と聞かれたら、どう答えますか?

よく耳にするのは、思いやりがある子、礼儀正しい子、約束やルールを守れる子に育てたいなどというものです。

これ以外にも各家庭でいろいろな方針がありますね。

発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「子育て方針って、どう決めて、何から始めていけばいいの?」(1歳・女の子)

子育て方針って、どう決めて、何から始めていけばいいの?
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子育て方針ってなぜ必要なんだろう?

最初に、子育て方針が必要な理由を少し整理してみましょう。

発達心理学では、子育ての最大の目標は、社会に適応しながら自立して生きていく力を育てることだと考えられています。

その力とは、

★健康的な生活価値観や態度。

★人と関わる力。

★自発的に考え、行動する力。


これらを伸ばすために、子育て方針が必要なのですね。

方針があれば、年齢に応じた支援をしながら子育てすることができます。

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1~3歳の時期の子育てのポイント

それでは具体的にどうしたらいいのでしょう。

1~3歳の子どもたちに重要なのは次の4つ。

子育て方針として、各ポイントをおさえた環境作りをしてあげるといいですね。

ポイント1 生活リズムを作る。

社会には一定のリズムがあります。

そのリズムにうまく乗るためには、幼児期からリズムのある生活をしておくことが大切です。

これを体験していないと社会性は育ちにくいともいわれています。

一日3回食事をして、夜がきたら寝るという、大まかなスタイルでかまいません。

まず、朝がきたらパッと遮光カーテンを開けて「朝がきたよ!」と目覚めさせることからはじめていきましょう。

ポイント2 イメージ力を育てる。

ふだん、意識していませんが、私たちはイメージを作って生活しています。

1~3歳は、積み木を車に、砂を型で抜いてプリンに見立てるなど、イメージを浮かべて遊ぶようになる時期。

おおいに楽しませましょう。

これが発展して3~5歳ころには、友だちと「ごっこ遊び」ができるようになります。

そのなかで自発性や人間関係、創意工夫の基礎など多くのことを学んでいきます。

ポイント3 よいことも悪いことも言葉で説明していく。

言葉はコミュニケーションの手段ですが、感情のコントロールにとっても大事です。

子どもの学びになるように、どんな場合にも言葉で説明してあげましょう。

たとえば、泣いている子に「お菓子を落として悲しかったのね」などといって、気持ちを代弁してあげるうちに、ただ泣くのではなく、自分から「悲しい」と言葉で表せるようになります。

ポイント4 よいお手本を見せていく。

あいさつをしたり、ルールを守ったり、共感したり、人を思いやったりすることなどは、周囲の大人を見て学んでいきます。

ママやパパがお手本になって、その大切さを伝えていってあげたいですね。

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大きなゴールを見すえて、あせらずに

子育て方針というと、特別なことのように感じます。

でも、そうではなく、生きるうえでとても基本的なこと。

それは、大きなゴールとして、子どもが「やがて自立していくとき」を見すえた子育てのことです。

「親の責任は大きいな~」と不安に思うかもしれません。

でも、子どもは、家庭だけでなく、園や学校、公園、街なかで、親以外の人たちからもさまざまなことを学びとっていきます。

ですから、1~3歳ではあせらなくていいのです。

今は、4つのポイントを心にとめて、子どもが安心してイキイキとすごせる環境を整えてあげることが、最高の子育て方針。

そして「親になる」ことなんですね。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...