スプーン&フォーク、おはしの身につけ方を発達の専門家に聞きました!

こんなときどうする?子育てQ&A#16「スプーン、フォーク、はし、どうやって身につける?」

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学):渡辺 弥生

写真/Adobe Stock
「1~3歳」はちょうどミルクから離乳食、幼児食へと変化する時期です。食事道具も、手づかみからスプーンやフォーク、おはしへとだんだんと変わっていきます。

「食べる」という行為は大人にとっては当たり前ですが、じつは非常に難しいことで、いろいろな部分が連動しています。

食べ物を嚙むあごの力、口に入れた物をコントロールする舌の力、食べ物を飲み込むためののどや首の筋肉、消化する胃腸など、すべての機能が安定して初めて食べることができるようになります。

子ども自身の体に食べる力が備わってこそ、道具を使う段階になることを、心に留めておいてください。

道具をうまく使えないと悩む親御さんが多いですが、なによりも「楽しんで食べられる」ことが最優先です。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「なんでも手づかみで食べます。いつになったら自分でスプーン・フォークを持って食べられるのでしょうか?」(1歳半・男の子)

いつからスプーンで食べられる? 写真/Adobe Stock

手づかみは、食べるための大切な訓練です

手づかみで食べることは、自分にちょうどいい量の食べ物を口に運ぶ訓練ですから、時間をかけて充分にやったほうがいいと思います。

スプーンやフォークは、親指、人差し指、中指の3本で物をつかめるようになり、うでや肩の関節が自分の思い通りにコントロールできるようになって、はじめて持てるようになります。

体全体の発達をみて、子どもがスプーンやフォークに興味を持ったら、少しずつ練習を始めればよいでしょう。

「スプーンの練習をさせたいのですが、上手にできないとすぐあきらめて『食べさせて』といいます」(1歳半・女の子)

すぐにあきらめるときはどうしたらいい? 写真/Adobe Stock

あせらずに体の発達を待ちましょう

もしかしたらまだ少し早いのかもしれません。

目で見た物を口に運ぶという目と手の協調動作は、大人は自然にできると思いがちですが、子どもにとってはまだ難しいことです。

子ども自身がうまく持てないと感じているのならば、体や手指の発達を待ってもいいかもしれませんね。

お友だちができるようになったから、と道具を与える親御さんもいますが、個人差がありますので、あせらずに。

「おはしはいつ頃から持たせたらいいのでしょうか?」(2歳半・女の子)

おはしのスタート時期はいつ? 写真/Adobe Stock

おはしはとても難しいゆっくりで大丈夫

必ず何歳までにできるようにならなきゃいけない、というものではありません。

世界的にみればおはしを使わない人のほうが多いですし、大人でもおはしが苦手な人もいるくらい難しいものですから、しっかりと発達を待って5〜6歳からはじめても遅くはありません。

食事の道具は、むせないで飲み込める、ちょうどいい量を口に運べるかどうかが大事です。

その道具で上手に食べられているかどうか、お子さんを見守ってあげましょう。

なによりも、食事を楽しい時間にすること! これを忘れないでください。

文/久世恵美 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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