でも、けっして悪い子だからやっているわけではないのです。
「友達のおもちゃを力ずくで取り上げます。」(3歳・男の子)
友達とのトラブルが起こりはじめる時期
取りあいをするのは当たり前の時期。
たまたま、その子が行動的だったり、好奇心旺盛だったり、力が強かったりするために目立ってしまうのです。
取りあいの経験も社会勉強です。
もちろん目に余るときは急いで止めて危険がないようにすることが大事です。
たいがいは一時的なものですから、周囲の親ごさんに自分の気持ちを伝えて、対応法を話し合っておくといいですね。
具体的にはどう対応したらいい?
そのうえで、相手の表情を意識させるように「お友達が痛いって泣いているでしょ」「たたくと痛いからやめようね」と毅然と伝えます。
でもそのあとは、二人の気分をパッとかえて、ササッと遊びに戻してあげることがポイント。
ほかのおもちゃに関心を移したり、一緒に遊べるように仲介したりしてあげましょう。
あやまることを教えるのは大事ですが、しつこい強要はマイナスです。
かわりにママパパが「ごめんね」と心からあやまって、泣いた子を優しくなだめてあげてください。
そんなママパパの姿を見ながら、してはいけない理由や、謝罪の気持ちや方法を学んでいきます。
1~3歳は、お友達遊びの初心者。
叱るだけが教育ではありません。
「○○ちゃん、泣いているね(相手の気持ち)。でも、あなたもこれで遊びたかったのよね(自分の気持ち)。次は貸してといおうね(遊び方)」などと、たがいの気持ちや方法をわかりやすい言葉で伝えていくほうが効果があります。
また、ふだんから親子で「順番こね」とおもちゃを交互に使ったり、「貸してね」とものをやりとりしたりして楽しく遊ぶのもいいでしょう。
子どもは日々成長していきます。
あたたかい気持ちで見守り、長い目で見てフォローしていってあげたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock

げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...