子どもが友だちをたたいてしまった どう対応すればいい? 専門家が回答
こんなときどうする? 子育てQ&A#61「おもちゃの取り合いなどで、友だちをたたいてしまったとき、どう対応したらいい?」
2022.05.30
教育学博士:渡辺 弥生
友だち遊びをたくさんさせてあげたい時期だけに、このことで頭を悩ませる親ごさんは少なくありません。
でも、これは大きな発達の表れでもあるのです。
「 おもちゃの取り合いなどで、友だちをたたいてしまったとき、どう対応したらいい?」(2歳・女の子)
暴力的とか優しくないからではないことを理解して
そして、その過程で思わず手が出てしまったり、体力がある子の場合は相手を押し倒してしまったりするようなことがおこります。
暴力的とか、人に優しくできないのが原因というわけではないことをまず理解しておきたいですね。
1~3歳のための三つの対応法
そういうなかで、ママやパパが心がけたいポイントは次の三つです。
ポイント1 共感と説明。
1~3歳の子どもたちは、まだ遊びのルールがわかりません。
そのため、厳しく叱るのではなく、「なぜ乱暴してはいけないのか」を説明していくことが基本です。
そのときに、わが子の気持ちや相手の気持ちも一緒に代弁してあげましょう。
たとえば「あれで遊びたかったのね。でも、たたくのはだめよ。○○ちゃん(相手の子)、悲しくって痛い痛いよ。貸してっていうと貸してもらえるかもしれないね」などと伝えましょう。
自分や相手の気持ちは、今は理解できませんが、繰り返し言い聞かせるうちに、感情コントロール力や、相手を思いやる気持ちを育んだりすることにつながります。
ポイント2 防ぐための準備。
おもちゃの取り合いがおこりやすい時期だと想定して、同じようなおもちゃを二つくらい用意しておけば、取り合いがおきても気分転換させやすいものです。
また、高価で一つしか持たせられないようなものは公園などに持っていかないこともトラブルを回避する知恵でしょう。
ポイント3 上手に仲介する。
大事なのは、いざこざがあっても、二人の子どもが引き続き楽しく遊びを続けられるように仲介してあげることです。
わが子が手を出してしまい、「ごめんなさい」と謝ったあと、しばらくはママが「ほら、こうすると面白いよ」と提案しながら一緒に遊んであげるといいでしょう。
そうすれば、そのなかで「順番こに使おう」「貸して」「どうぞ」など、 言葉でのやり取りを教えることができます。
そして、それができたときは、ほめてあげることも大事です。
ママやパパたちで連携して子どもたちの支援を
当然、多少のいざこざはおこりますが、被害者と加害者というような見方ではなく、両方の子が上手に貸したり借りたりできるような支援をすることができたら最高です。
それには、親同士で連携していくのがいちばんです。
もし、わが子の乱暴が気になるなら、周囲のママやパパに事情を話し、「乱暴したら叱って、遊び方を教えてね」とお願いしておくのも方法です。
子どもたちのいざこざは、言葉でやり取りができるようになると急激に減っていきます。
今は大人が協力しあって、子どもたちが楽しく遊びながら社会性を身につけていけるように工夫していってあげたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。