「子どもの叱り方」って何が正解!? 発達心理学者が導く答えとは?
こんなときどうする?子育てQ&A#1「叱るって、どうすべき?むずかしい…」
2021.12.10
怒鳴ってばかり、まったく叱らない、どちらも何も伝えていません。
「いけないことをしたときに、どの程度の加減で叱ればいいのかわからない」(2歳半・女の子)
なぜ叱るかを子どもに伝えましょう
「叱る」は生きていくうえで大事なこと、理解してほしいことを子どもに教えるということです。
感情的になりそうなときは、一呼吸おいて冷静になり、叱ることが教えにつながっているか、感情をぶつけるだけになっていないか、振り返りましょう。
きちんと目を見て具体的に話せば、親の思いは伝わります。
「『甘やかす』と『甘えさせる』、線引きがわかりません」(2歳・男の子)
「甘えさせる」は悪いことではありません
たとえばよくある「だっこして」も、「疲れた? お腹すいたの?」と理由を問いかけてみましょう。
本当に疲れている様子ならば、だっこしてあげることは甘やかしではありません。
別の理由や、もし親御さんがだっこできない状況なら「じゃあ休もう」「おやつ食べようか」など、子どもが望むだっこではないけれど、気持ちを汲んで応答します。
「甘えさせる=何でもいうことをきく」はダメですが、「甘えさせる=耳を傾け、応答する」はとても望ましいことです。
大人でも甘えたい気持ちはありますから、子どものしつけだからなんでも厳しくしなくてはいけない、甘えさせてはいけない、という理屈はないのです。
「真剣に叱っても、子どもに気持ちが伝わらないときがあります」(3歳・男の子)
見た目ではわからない、伝え続けることが大切
子どもは日々成長しているので、繰り返し伝えることで、いつか理解できるようになります。
親は「叱る」という行為をキツく怒鳴る、というイメージで捉えがちですが、「きちんと伝える」ということがとても大切です。
子どもが自立するための力、自分で解決する力、他人との関わりの中で生きていく力をつけるための「叱る」は、親が子に大事なことを伝えるための手段だといえます。
繰り返し伝えることは気力、体力がいりますが、子どもに教えなければいけないことを全力で伝え続けること、それが「子育て」なのです。
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。