そんな遠山えま先生は、2023年で漫画家デビュー20周年! この記事で、初めての顔出しインタビューにこたえてくださいました。
遠山先生が漫画家になろうと思ったきっかけや、夢の叶え方、漫画家を目指す人へのアドバイスまで。今まで語られてこなかった、遠山えま先生の「漫画家人生」に迫ります。
遠山先生は5人いる!? 現在、7本の連載を同時進行中
遠山えま先生(以下遠山、敬称略):「なかよし」でデビューしてから、今年(2023年現在)で20年が経ちました。いまは月刊「なかよし」で「魔女メイドは女王の秘密を知っている。」や、月刊「少年シリウス」で「異世界で最強魔王の子供達10人のママになっちゃいました。」など、不定期も含めると7本の連載を持っています。
──さらっとおっしゃっていますが、7本を同時に連載するのは簡単なことではありませんよね。講談社内では、「遠山先生は5人いるのではないか」と噂がたっていると聞きました(笑)。
遠山:そうなんですね! でも連載を同時進行することは、私にとっては意外と大変ではなくて。むしろ1つのお話だけ描いているほうが煮詰まってしまいます。別の作品と同時に進めたほうが、頭がリフレッシュされていいアイデアが浮かぶことが多いです。普段は「1日に何枚を描く」と決めて、締め切りを管理しています。
遠山:お話は、パッとひらめいたものを掘り下げていくことが多いです。たとえば、連載中の「魔女メイドは女王の秘密を知っている。」は、女王様が男だったらどんなストーリーになるだろう、と思いつき、お話を広げていきました。
「魔女メイドは女王の秘密を知っている。」では自分がドレスを描きたくて、王宮を舞台にすると決めました。あとは「メイド」「魔女」など、好きな要素を足していって。担当編集の図師さんは、作家が描きたいものを描いたほうがいいと言ってくださるので、ありがたいです。
漫画家への道が夢ではなく「現実」になったきっかけ
遠山:漫画家の仕事を初めて意識したのは、『なかよし』が大好きだった小学生のときでした。「美少女戦士セーラームーン」や「ミラクルガールズ」などを夢中になって読んでいたある日、新人賞の応募要項のページを見つけて。
具体的な漫画家の仕事はわかっていなかったけれど「この賞を受賞すれば、漫画家になれるのか」と思ったのが最初です。絵を描くことが小さなときから大好きで、ずっと絵が描ける仕事がしたい、そんな気持ちから漫画家を目指しはじめました。
中学生になるとおこづかいをつかって、少しずつ画材屋さんでGペンやスクリーントーンなどを集め出します。使いかたがまったくわからなかったので、漫画の描き方がまとめてある本を読んで、少しずつ習得していきました。
遠山:中学生や高校生のときは、漫画家は夢であって、リアルな未来ではありませんでした。気持ちが変わったのは社会人になってから。就職したゲーム会社の同僚が、漫画家でデビューしたんです。
そのときの同僚は、『good!アフタヌーン』(講談社)で「地獄道霊界通信」(原作:香月日輪)を連載されていたみもり先生です。いまもお家に遊びに行くくらい仲よくさせてもらっています。冷静に考えると、小さな会社に2人も漫画家がいたなんて不思議な話ですよね。
みもり先生の影響で、夢物語だった漫画家への道が、急に現実になったんです。「やるならいましかない」と意を決して会社をやめました。そして1年間、漫画家になるための努力をして、デビューできなければあきらめようと決めました。