【公民館がスゴいことになっていた!】“公園+パラソル“だけの屋台型「パーラー公民館」 超レアな「地域の拠点」に全国から視察も多数

シリーズ「地域をつなぐ みんなで育つ」#3‐4 「若狭公民館」【2/2】(沖縄県那覇市)

ライター:太田 美由紀

公民館は可能性に満ちている。あとはパラソルを開くだけ。

「パーラー公民館をはじめたときに意識していたのは、公民館ってまだまだ可能性があるということでした。

それぞれの公民館がその可能性をひらいて、日本全国でいろんな人が街づくりを始めたらおもしろいだろうなと妄想しています」(宮城さん)

若狭公民館では、「アートな部活動」や「パーラー公民館」以外にも、多文化共生の取り組み、防災の取り組み、子どもの居場所や体験活動などの取り組みをさまざまなクリエイティブな活動と組み合わせながら幅広く行っています。また、そのことをホームページやSNSなどでも積極的に発信しています。

「予算が必要な大掛かりな企画なども含めて幅広い取り組みをしていますが、例えばパーラー公民館は、パラソル一つでできる。

全国から視察にも来ていただくことも多く、ほかの地域でも展開しています。全国あちこちでパラソルのもとにコミュニティが生まれていくと面白いなぁと思っています」(宮城さん)

─・─・─・─・

立派な施設がなくても、予算がなくても、パラソル一つで公民館の可能性はひらきます。公民館の職員が動いてもいい。市民が先に動きはじめてもいい。

おもしろい活動には人が集まり、多様な人が集まれば、そこにアイデアが生まれ、新しい動きが生まれます。地域の活動は、子どもたちにも必要な、学校だけでは得られない交流や学びを生み出します。

ゴールや目的をあえて設定しない「遊び」のような「学び」を、世代を超えて共に楽しめる場をつくる。思いついたことを手探りではじめる。試行錯誤しながら失敗もみんなで笑い合い、また挑戦する。

こうしたプロセスは一見、遠回りに見えますが、実はそのプロセスこそが、子どもたちを育み、多世代の信頼関係を確かなものとして、本当に暮らしやすい地域をつくるひとつの方法なのかもしれません。

あなたの街でも、パラソルを開いてみませんか?

取材・文/太田美由紀

【関連サイト】
那覇市若狭公民館
NPO法人地域サポートわかさ

子どもが「自ら学ぶ力」を存分に発揮できる学校とは? 先進的全国の学校を取材した、教育学者・汐見稔幸(東京大学名誉教授)とライター太田美由紀の共著『学校とは何か 子どもの学びにとって一番大切なこと』(河出書房新書)
すべての画像を見る(全8枚)
この記事の画像をもっと見る(全8枚)

前へ

4/4

次へ

28 件
おおた みゆき

太田 美由紀

編集者・ライター

1971年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。雑誌編集部を経て独立。育児、教育、福祉を中心に、誕生から死まで「生きる」を軸に多数の雑誌、書籍に関わる。NHK Eテレ『すくすく子育て』の番組制作やテキスト制作に関わる(2020年まで)。 2011年より新宿区教育委員会・家庭教育ワークシートプロジェクトメンバー。2017年保育士免許取得。子育てコーディネーターとして相談現場でも活動。「人間とは何か」に迫るため取材・執筆を続けている。 自著『新しい時代の共生のカタチ~地域の寄り合い所 また明日』(風鳴舎)、近著として学校取材を担当した『学校とは何か 子どもの学びにとって一番大切なこと』(編著/汐見稔幸・河出新書)がある。 ●『新しい時代の共生のカタチー地域の寄り合い所 また明日』(風鳴舎)

1971年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。雑誌編集部を経て独立。育児、教育、福祉を中心に、誕生から死まで「生きる」を軸に多数の雑誌、書籍に関わる。NHK Eテレ『すくすく子育て』の番組制作やテキスト制作に関わる(2020年まで)。 2011年より新宿区教育委員会・家庭教育ワークシートプロジェクトメンバー。2017年保育士免許取得。子育てコーディネーターとして相談現場でも活動。「人間とは何か」に迫るため取材・執筆を続けている。 自著『新しい時代の共生のカタチ~地域の寄り合い所 また明日』(風鳴舎)、近著として学校取材を担当した『学校とは何か 子どもの学びにとって一番大切なこと』(編著/汐見稔幸・河出新書)がある。 ●『新しい時代の共生のカタチー地域の寄り合い所 また明日』(風鳴舎)