発達障害・発達特性を持つ子どもとの接し方 「5つの大事な法則」があった!

子どもの支援2000人超のエキスパートが効果のあった「声かけ」を紹介

小嶋 悠紀

穏やかに・近づいて・静かに ベストな話しかけ方

──「ベーシック5」の順に見ていきたいのですが、①見つめる、②微笑む、はすぐに実践できそうですね。ただ、③の「話しかける」が難しいように思います。どのように話しかけるのが、子どもにとってベストなのか教えていただけますか。

小嶋先生:忙しい大人は、つい、離れたところから「おもちゃを片づけなさい」などと指示を出すといった接し方をしがちです。でも、それではいけません。

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発達障害がある子とコミュニケーションをとるときの基本は、
Calm(カーム)=穏やかに
Close(クロース)=近づいて
Quiet(クワイエット)=静かに
です。

頭文字をとって「CCQ」と呼んでいますが、大前提としてこれが守られていないと、何を言っても通じないと思ってください。伝えたいことを確実に子どもに届けたいのであれば、必ず近くに行って、目を合わせて、穏やかに伝えなければいけないのです。

ちなみにCCQは、大人に対する戒めでもあります。大人が先に興奮しては、しつけや教育などできません。「子どもより先に興奮しない」というのも、大人が身につけておきたい大切なスキルです。CCQを心がければ、そのような姿勢が自然と身につきます。

──なるほど。しかし毎日の生活で、ひとつひとつの指示を「CCQ」で伝えることは、少しハードルが高いように思うのですが……。

小嶋先生:「散らかし放題」「宿題をしない」「明日の学校の準備もできてない」──そんな子どもを見るとついイラッとして、矢継ぎ早に指示をしてしまう気持ちも分かります。しかし、発達障害の子に次々に指示を出しても通じません。それどころか、フリーズしてしまうのです。なぜそんなことが起きるのでしょう?

子どもの脳のなかで何が起きているか、ちょっと考えてみましょう。まずは大人に「片づけをしなさい!」と言われて、「はい」と返事をします。このとき子どもは「今やっていることを中断する」ということに集中します。今やっていることに「区切り」をつけないと納得できないので、目の前のことだけを見て、なんとかやめようとするわけです。

そのタイミングで、大人から次の言葉が入力されます。「それに宿題もしてないよ」──すると子どもの脳は、〈そうだ! やってなかったな!〉と宿題のほうに切り替わってしまいます。

しかしここで、さらに立て続けに、「明日の準備はしたの?」と聞かれると、もう切り替えが追いつきません。ワーキングメモリが弱いため、「どの言葉に注目していいかわからない」状態になって、フリーズしてしまうのです。

これは、大人が「やってほしいこと」を続けて伝えたのがよくなかったのです。指示を出すときは、「ひとつの時に、ひとつの事だけを伝える」ようにしてください。これは、かつて日本一の教師と言われた向山洋一(むこうやま よういち)先生(日本教育技術学会名誉顧問)が「一時一事(いちじいちじ)の原則」と名づけたものです。やってほしいことはいろいろあると思いますが、ひとつのことを伝えたらいったん我慢。終わってから次に移りましょう。

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