子どもの【発達障害】 「障害年金」親は今から準備を! 「もらえるお金・減らせる支出」 受給や請求のポイントを専門家が解説

発達障害「もらえるお金・減らせる支出」③~障害年金編~

横井 かずえ

支援はいらない・親が頑張ればいい、は危険

──特に子どもの年金などについては、親御さんにとってずっと先のことに感じてしまうかもしれません。子どもが成人する前から、年金について知っておくことは重要なのでしょうか?

青木教授:
障害年金を始め、障害を持つ人を支える制度を知っておくことはとても大切です。なぜなら仕組みを知らずに放っておくと、一生年金を受け取ることができず、後からとても困るケースがあるからです。

また、親御さんの中には「月に数万円くらいなら、自分が出してあげられる。親が頑張ればいいのだから、支援は必要ない」という人がいますが、この考え方は危険です。

なぜなら「制度を活用すること」は、単にお金をもらえるだけではなく、社会とつながることでもあるからです。

福祉サービスを使うことは、社会とつながること

──社会とつながるとはどういうことですか?

青木教授:
実際にあったケースをもとに説明しますね。

ある親御さんは「自分が死んだあとに障害を持つ子どもが困らないようにお金を貯める」と、頑張って多くの財産を残しました。ある程度の資産ができて「安心した」と思っていた矢先に、子どもを残してその人は亡くなってしまったのです。

その後、どうなったかというと……たった数ヵ月もしないうちに、残されたお子さんは詐欺に遭い、遺産をすべて失ってしまいました。

結局、我が子のためにいくら資産を残しても、それを管理し続けることができなければ、思わぬ出来事で失ってしまう。お金とはそのようなものだと思います。

──だまされて資産を失ってしまうというケース以外にも、発達障害の特性によりお金の管理が苦手、などの事例も考えられますよね。

青木教授:
はい、そうですね。発達障害の子どもはやがて成人し、親なき後も、さまざまな困難に対処していかなければなりません。

障害年金をはじめとする制度を活用するということは、そこを入り口として「社会とつながる」ことになります。

発達障害を抱える子ども自身が成長したとき、さまざまな専門家や支援者とつながっておけば、親が死んでひとりになっても放ってはおかれません。制度によって子どもが未来永劫、守られるのです。

私は、親自身が制度に頼る姿勢を見せることは、子どもにとっても重要なことだと考えています。

「手帳があれば障害年金をもらえる」は危険な誤解

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