妊娠中のダイエットはNG! 管理栄養士が説く「妊娠中の食事」 避けたい食材と体重増加の目安
管理栄養士・岩見真由美さん「妊娠中の食生活」で知っておきたいこと #1 積極的に摂りたい5つの栄養素と避けたい食材
2023.10.23
管理栄養士:岩見 真由美
ビタミンA/水銀 避けたい栄養素と食材
妊娠中はさまざまな食べ物をバランスよく摂ることが基本ですが、なかには摂りすぎるとおなかの赤ちゃんや、ママの体に影響を与える恐れのある食べ物もあります。
①ビタミンA
妊娠初期のママがビタミンAを摂りすぎると、おなかの赤ちゃんの発育に影響があることが報告されています。
【ビタミンAを多く含む食べ物】
うなぎの蒲焼き、アンコウの肝、フォアグラ、すじこ、いくらなど
②水銀
大型の回遊魚や深海魚などに含まれる「メチル水銀」は、お腹の赤ちゃんの中枢神経に影響を与える恐れがあります。大型の魚が食物連鎖によって自然界の水銀を取り込んで蓄積してしまっているため、食べる種類や量に注意しましょう。
【水銀の含有量が多い食べ物】
マグロ(本マグロ)、メバチマグロ、クロカジキ、メカジキ、マカジキなど
アルコール/生ものなど 控えたい4つ
おなかの赤ちゃんは、お母さんからへその緒を通じて酸素と栄養を補給しています。そのため、妊娠中に控えたほうがいい食べ物があります。
①アルコール
妊娠中の飲酒は、早産やおなかの赤ちゃんの発育不良のリスクが伴います。妊娠中はアルコールを控え、周囲の人にも協力を求めましょう。
②カフェイン
カフェインを含む嗜好飲料をたくさん摂ることも、お腹の赤ちゃんの発育によい影響はありません。コーヒーや紅茶などは1日1杯程度を目安に、カフェインレスのものを利用しましょう。また、カフェインは栄養ドリンクやエナジードリンク、眠気覚ましのガムなどにも含まれているので注意してください。
③生もの
原因菌やウイルスの中には、胎盤を通じておなかの赤ちゃんに感染する可能性があるものもあります。妊娠中は、肉や魚、卵には十分に火を通して食べるようにしましょう。また、加熱処理が不十分な鶏肉のささみや馬刺し、レアステーキなどは、控えることをおすすめします。さらに、食中毒を予防するために、調理や食事の前によく手を洗い、生野菜や果物も十分洗ってから食べましょう。
④非加熱の生ハム・チーズ
非加熱の生ハムやパテ、スモークサーモン、カマンベールチーズなどには、食中毒菌の「リステリア菌」が存在することがあります。リステリア菌が繁殖している食べ物を食べると、胎盤を通して子宮内感染を起こし、流産や早産など赤ちゃんの発育トラブルにつながることも。
リステリア菌は塩分に強く、冷蔵庫でも繁殖する特性があるため、これらの加工品を食べるときはしっかりと熱を加えたり、食べること自体を控えたりするのが安心です。
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1回目では、妊娠中の望ましい体重増加量の目安と、食事で知っておきたいことを解説しました。ただ、一日を振り返ってみて、食べていなかったり少なかったりした食材があれば、次の日に食べるようにするなど調整しながら、あまり神経質にならないように日々過ごしてくださいね。妊娠期間という限られた時期を、おなかの赤ちゃんと楽しく過ごしましょう。
次回2回目では妊娠初・中・後期に分けて、特に意識して摂りたい栄養素や食事選びのコツなどを引き続きお伝えしていきます。
監修・文/岩見真由美(メディペン)
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メディペン
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
岩見 真由美
管理栄養士・健康運動指導士。特定保健指導では生活習慣見直しのアドバイスを、介護予防事業では高齢者のフレイル予防(加齢による寝たきりの予防)と、食事と運動の両面からアプローチする指導を行っている。 2020年4月よりライターとしても活動。ヘルスケア系の記事を中心に執筆中。
管理栄養士・健康運動指導士。特定保健指導では生活習慣見直しのアドバイスを、介護予防事業では高齢者のフレイル予防(加齢による寝たきりの予防)と、食事と運動の両面からアプローチする指導を行っている。 2020年4月よりライターとしても活動。ヘルスケア系の記事を中心に執筆中。