音楽劇「あらしのよるに」きむらゆういちさん稽古場初見学レポート W主演・白石隼也&南野巴那も意気込み十分!
種を超えた友情を描いた きむらゆういち と あべ弘士の名作
2024.08.23
ライター:中村 美奈子
2024年8月24、25日の「日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2024」で、音楽劇「あらしのよるに」が再々演されます。
今回、主演の白石隼也さんと南野巴那さんをはじめ、3分の2が新キャストということもあり、本番に向けて、連日熱の入った稽古が繰り広げられています。その稽古場に、再々演にして初めて、原作者のきむらゆういちさんが見学に訪れました。本番の舞台とはひと味違う、舞台づくりの現場できむらさんが感じたことをレポートします。
動き、音、音楽を合わせ緊迫した場面をつくるクライマックスシーンの稽古
きむらさんが稽古場を訪れたのは、2週間後に本番を控えた8月10日。稽古は、「みどりの森」を目指して旅立ったガブとメイが、ふぶきの中で命の危機にさらされるシーンの復習から始まりました。
目も口もあけられないくらいの雪のあらしに翻弄される、白石さんが演じるガブと南野さんが演じるメイ。雪を演じるアンサンブルのメンバーたちがふたりを円状に取り囲み、手を大きく振りながらぐるぐると激しく踊り狂い、ふたりをなぶり、引き裂き、白い闇へと連れ去ろうとします。
ガブは倒れたメイを、雪を掘ってつくった洞穴になんとか引きずりこみます。しかしふぶきは何日も続きました。寒さと空腹に耐えかねたガブに対し、メイは自分を食べるように言います。
一度通しで演じた後、脚本・演出の立山ひろみさんと振付の山田うんさんが、俳優さんたちに気づいたことを伝えます。それを受けて、動きや演技について話し合い、みんなでシーンをつくりあげていきます。ふぶきのシーンでは歌も入るため、音楽の鈴木光介さんが歌のメインメンバー3人に対しても、細やかな指示を伝えていました。
この後、メイの言うことに従ったふりをして洞穴の外に出たガブは、ふたりを追いかけてきたギロ(阿南健治)が率いるオオカミの群れと戦います。クライマックスで繰り広げられる激しいアクションシーンは、劇の大きな見どころ。オオカミ一匹一匹の動きに迫力があり、劣勢のガブがどう反撃するのかとグッと気持ちが引き込まれます。
この日は、ふぶきのシーンから場面転換したラストシーンまで、稽古は数時間続けられました。きむらさんは時折台本を見ながら、稽古の様子を静かに見守っていました。