子どもの「心の動き」が分かる映画? 小津安二郎『お早よう』の効き目
#1 子どもの心を理解するために大人が観たい映画 世界の名匠・小津安二郎監督『お早よう』
2021.07.06
映画評論家:前田 有一
ポイント3 徹底した子ども目線で映し出す子どもの世界
「小津監督の映画は、カメラを低く構えたローアングルで撮影しているところが特徴です。そのため、この映画では子ども目線で、目の前で起きていることを捉えることができるため、“子どもってこういう風に世界を見てるんだな”ということが、視覚からもよく理解できます。
“子どもは寝なさい!” と言っておきながら、隣の部屋でコソコソ喋っている大人を、子どもの目線から映し出すと、すごく悪だくみしているように見えるでしょ。そりゃ気になって眠れないですよ(笑)。
全編ローアングルだからこそ、大人にとって些細なことでも傷ついたり、大冒険だったりするんだなということが、感覚で理解できる作品なのです」
映画の中の“おなら遊び”のように、大人から見ると本当に取るに足らないことってありますよね。実際されると、つい“いつまでやってんの!” と怒ってしまいそうです。
でも、子どもの心のうちを理解できれば、イライラする気持ちを抑えられるかもしれません。その意味でも、小津監督が描いた子どもの心の世界は、親子のコミュニケーションが円滑になるきっかけにもなりそうです。
取材・文 末吉陽子
前田 有一
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。 【主な著書】 『それが映画をダメにする』/『どうしてそれではダメなのか。~日米中の映画と映画ビジネス分析で、見える世界が変わる』/共に玄光社
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。 【主な著書】 『それが映画をダメにする』/『どうしてそれではダメなのか。~日米中の映画と映画ビジネス分析で、見える世界が変わる』/共に玄光社