2日で9時間 「探究学舎」のリアル講座で「元素にハマる子」続出! 子どもが前のめりになる「仕掛け」をスゴ腕講師が明かす

【今こそ学力観のアップデートをするとき】好奇心の種をまく探究学舎の学び#3 探究スペシャル・参加ルポ

チームで学ぶ意義とは?

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子どもたちがこれほど前のめりに参加するのには、もう一つ理由があります。

それは、「チームで優勝を競う」というルールです。優勝すると、「ビスマス」という虹色の元素がもらえるというおまけつきです(笑)。子どもたちは、ポイントを得るためにクイズやチャレンジにより積極的に取り組み、教室は熱気に包まれていきます。

チャレンジに成功して喜ぶ子どもたち。  写真:川崎ちづる

探究学舎では、学びに「競争性」を組み込むことで、子どもたちのモチベーションアップにつなげているそうですが、できるだけ個人ではなく「チーム戦」を採用しています。森田氏はその理由を、インタビューで次のように話していました。

「そもそも、子どもたちは誰かと競争するのが大好きです。だけど、個人での勝負に偏ると、自分が勝てないと感じたらやらなくなってしまいます。

その点、チーム戦ならみんなで協力して取り組むので、いろいろな子が自分の役割を見つけて参加できます。競争の楽しさや盛り上がりを存分に味わうことができますし、たとえ負けてもみんなで悔しさを分かち合えますよね」(森田氏)

実際に子どもたちを見ていても、チームでの活動がプラスになっていると感じます。チャレンジの内容が難しくなると、どうしても年齢の高い子や内容に詳しい子がグループを引っ張る形になります。ですが、低学年の子もただ見ているだけではなく、自分なりにできることを担って協力することで、無理なく参加できていました。

チーム内で教え合う姿も見られました。  写真:川崎ちづる

さらに、チームで協働することが多様な学びにつながるよう、さまざまな工夫をしているといいます。

「チームで挑む問題には、攻略性が不可欠です。当てずっぽうでも解けてしまったら、『おもしろい』とは感じられません。ですから、子どもたちが自分で考えられるように、資料や前提をしっかり用意しています。難しくてもみんなでアイデアを出しながら考えていけば、最終的には正解に行き着ける。そんな内容を設定していますね。

ほかにもチームで取り組む良さはたくさんあるんですが、自分の行動に対して責任を感じられる点も重視しています。結果が出たときに、『もっとこうしたらチームが勝てたな』と振り返ることができれば、とても良い経験になります。

学習内容だけでなく、責任感や自分の失敗を受け止める力を育むことも大切です。もちろん、勝敗を誰かのせいにするのではなく、チームのみんなで励まし合うこともまた必要ですから、そのバランスを意識しながら授業を作っています」(森田氏)

一人ではなく、みんなで学ぶからこそ得られる楽しさ、そして経験。探究学舎の授業には、子どもが学びで得られる多様な要素が詰まっているのです。

2日間に渡る探究スペシャル(元素編)に実際に参加して、その構成には唸るものがありました。

子どもたちが歴史上の発見を「追体験」していくことで、元素とはどんなものなのかを理解できる流れになっていますが、これは、発見した人物が人生をかけて探究したことを経験しているにほかなりません。

「結果」だけを学ぶ一般的な授業とは異なり、歴史上の発見者が感じた「なぜ?」を自分のものとし、ワクワクしながらチームのみんなで確かめる。これらを通して、学ぶことの楽しさ、醍醐味を味わうことができるのだと実感させられました。

そして、こうした学びを支えているのが、子どもたちが周りの目や評価を気にせず「自由に過ごせる環境」です。第4回は、探究学舎のこうした環境づくりへの取り組みと、探究スペシャル参加後の子どもの変化などについて紹介します。

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【森田太郎 プロフィール】
1977年生まれ。東京都出身。幼いころから遊びが大好きで、小学校入学後も宿題・勉強はほとんどせずに過ごす。ユーゴスラビア内戦を機に民族問題に関心を持ち、大学へ進学。ボスニア・ヘルツェゴビナにたびたび渡航し、1999年にサッカーによる民族融和を目指した論文で『秋野豊賞』を受賞。2000年にはNGO「サラエヴォ・フットボール・プロジェクト」を設立し、平和構築活動に従事。その後、東京都小学校教諭として13年勤務したのちに、2019年より探究学舎講師に。2021年からは三鷹市内の小学校で非常勤講師も務めている。著書に『サッカーが越えた民族の壁──サラエヴォに灯る希望の光(明石書店)』。

取材・文 川崎ちづる

【好奇心の種をまく探究学舎の学び】の連載は、全5回。
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※公開日までリンク無効

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。