かかりつけ医を見つける重要ポイント「共有意思決定できる医師」とは?

信頼できる“ご近所かかりつけ医”の見つけ方 #1小児科医の見極め方編

兵庫県立丹波医療センター小児科医長:岡本 光宏

「共有意思決定」ができない小児科医は要注意

岡本先生から見て、気をつけた方がいい医師のタイプを挙げてもらいました。

「患者と医師の双方が納得して治療方針を決める『共有意思決定』ができない医師は要注意です。

診察の際に、医師の方針を優先することを『パターナリズム』と言い、患者の方針を優先することを『コンシューマリズム』と言います。
パターナリズム、またはコンシューマリズムのどちらかに偏りすぎてしまうと医師と患者の信頼関係を築くことが難しいため、最近はこの共有意思決定が重要視されています。

予防接種を例にあげると、医師としては打った方がいいと思っていても、患者さんから『予防接種を受けた方がいいですか?』と聞かれた時に、その答えを押し付けるようなことはしません。

その人の意向や背景も考慮して、あとひと押しで悩んでいるのなら、ポンと背中を押す。一方、『受けない方がいいのかな』と思っているようであれば、まずは予防接種に対する不安を聞き、予防接種のメリットなども提示したうえで、最終的に打つかどうかを双方が納得する形で決める。
これが、共有意思決定です。

情報収集をされていたり、よく勉強されていたりする医師の方が、このスタンスに行き着いています。そのためにも先ほども紹介した『情報発信やホームページの更新をしているかどうか』が判断基準になると思います」

薬の処方からも判断できるポイントも教えていただきました。

「解熱鎮痛剤のような、いわゆる頓服は『お子さんの熱が出た時に保護者の判断で使ってもいい』というものなので、5回や10回分など多めに処方してもいいと思います。ただ、セキの薬や風邪薬、抗生剤は、処方された分を飲みきるのが基本です。

仮に患者さんから『抗菌薬を出してください』と言われても、それが不要だと判断すればしっかり説明して『なぜ必要ないか』を理解してもらう必要があります。

薬を余るほど処方したり、患者が望むがまま処方したりするような医師は、あまりいいとは言えませんね」

【患者の言う通りに薬を処方する】=【共有意思決定ができていない】ことを意味すると岡本先生。
さらに、医師と患者との信頼関係を築くうえで、「保護者も自発性を持ってほしい」と続けます。

「この場合の自発性とは、『なぜこの薬を飲ませる必要があるのか』など、保護者が治療の意味を理解して治療に臨むことです。

僕がよく診察するアトピー性皮膚炎の場合、お父さんやお母さんが朝起きた時と風呂上がりに、お子さんの全身にたっぷり薬を塗る必要があります。

毎回5分くらいかかるので、これが結構大変で。なかには逃げ回る子もいるので、押さえつけて塗らなくてはいけません。

この時に、僕に言われたからではなく、なぜケアが必要なのかを理解して『この子のアトピーを治すため』だと納得している方は、がんばって塗ってくれます。

医師が説得するのではなく、保護者自身が治療の大切さに気づくことが重要です」

保護者が治療に納得するためには、分からないことがあった時に相談でき、共有意思決定ができる、かかりつけ医との出会いも肝心です。

赤ちゃんや子どもの病気、健康に生活するためのポイント、受診の仕方までを網羅した『赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典』(監修:岡本光宏/朝日新聞出版)。

取材・文/畑菜穂子

第2回は、21年9月16日公開です(公開日時までリンク無効)。
小児科受診にまつわる疑問を伺います。

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1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・...