かかりつけ医を見つける重要ポイント「共有意思決定できる医師」とは?

信頼できる“ご近所かかりつけ医”の見つけ方 #1小児科医の見極め方編

兵庫県立丹波医療センター小児科医長:岡本 光宏

親子ともに安心して受診するためにも「どの先生に診察してもらうか」はとても大切です。
写真:maroke/イメージマート
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新生児期から幼児期は、予防接種や定期検診、病気など、かかりつけ医として町の小児科にお世話になる機会がなにかと多いもの。だからこそ、信頼できる小児科医に出会えるかどうかは大切であり、病院選びも慎重に行いたいところです。

そこで、兵庫県立丹波医療センター・小児科医長の岡本光宏医師に、良いかかりつけ医を見つけるためのポイントを伺いました。

かかりつけ医はコロコロ変えないほうがいい

自身のSNSやブログ、動画、『赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典』(朝日新聞出版)などの書籍で、子どもの病気に関する情報発信を行う岡本先生。保護者の素朴な疑問についてもわかりやすく、ていねいに解説をしてくれます。

岡本先生は、かかりつけ医を持つことについて、「メリットは3つある」と言います。

「1つ目は、同じ医師が長期間に渡ってお子さんを診察してくれることです。自治体によって“子ども”の定義はさまざまですが、大体0歳から15歳ごろまで小児科との付き合いが続きます。大きな病院の医師は数年ごとに異動することが多いですが、町のかかりつけ医であれば、同じ医師がお子さんをずっと見守ってくれます。

2つ目は、お子さんの“トータルマネジメント”をしてくれることです。かかりつけ医は、これまでにかかったことのある病気やアレルギーの有無、飲んでいる薬など、お子さんの状態のすべてを把握しています。これにより、効率的で効果的な診療プランを組み立てることができます。

3つ目は、適切な専門診療科に紹介してくれることです。たとえば、お子さんがケガをしたときに、どの専門医を受診したらいいか判断するのは難しいですよね。かかりつけの小児科はお子さんのトラブルについてなんでも対応します。かかりつけ医を経由することで、専門診療科への診療がスムーズに進みます」

このほか、毎回同じ医師が診てくれることで、子どもも安心して受診できるなどのメリットもあります。

「トータルマネジメントの観点や長く診てくれる点を考慮すると、かかりつけ医は頻繁(ひんぱん)に変えないほうがいい」と岡本先生。

「医師の方針に不満がある場合は、かかりつけ医を変えるのも一つの手段です。ただ、かかりつけがコロコロ変わっている患者さんは、診察計画がうまくいかなければ通院しなくなってしまう可能性があり、医師との信頼関係も構築しづらい。

だからなおさら、最初の小児科選びはしっかり吟味したほうがいいですね」

医師のSNSや病院のHPもチェックポイントに

信頼できる「かかりつけ医」はどうやって見つけたらいいのでしょうか。まずは、小児科を訪れる前にチェックできることがあります。

「SNSや書籍、論文などで情報を発信されている先生は、普段から勉強していて新しい医学の知識をアップデートできている可能性が高いです。

また、病院のホームページの更新頻度や講演会などの診療以外の地域貢献もチェックポイントになりますね」

一方、インターネットの口コミサイトはあまり役に立たないと言います。

「口コミサイトは、その病院に不満を持つ人が書き込んだり、誰かが成りすまして良い情報を書き込んでいたりするなど偏った内容が掲載されている可能性があります。正確な情報とは言えないため、あまり信頼しない方がいいでしょう。

むしろ、インターネットを介さない先輩パパやママの意見などを参考にするといいと思います」

地域で情報を集めるのが難しい場合には、予防接種で“お試し受診”するのも一つの方法とのこと。

受診時にチェックできるポイントとして「医師の説明がていねいであること」を岡本先生は挙げます。

「とはいえ、長々と説明しすぎるとほかの患者さんを待たせてしまうし、口頭で一気に伝えても、親御さんの記憶に残るのは3割程度だと言われています。

僕が個人的に“良いかかりつけ医”だと思うのは、検査結果であればメモを添えたり、資料をコピーしたものを渡したりして説明してくれる医師。

たとえば、お子さんが中耳炎と診断された際に、症状についてまとめられた紙を1枚渡して、『中耳炎は2歳までに100%かかります。ほとんどの子は自然に治りますが、3日間様子を見てよくならなければ、抗生剤を使います』と具体的に説明してくれるといいですよね。

そうでなくても、親御さんが質問したときにきちんと説明してくれるかどうかは大事です」

小さな子どもを連れて受診をする際には、診察の予約ができるかどうかも大きなポイントです。

「感染症の不安もあるなかで小児科に連れて行くわけですから、あまり長い時間待合室にもいたくないですよね。

やはり、インターネットで予約できるようなシステムはあったほうがいい。古い病院では電話予約のみ受け付けている場合もありますが、インターネットで予約できた方が効率よく受診できます。

『診察券の番号が表示されて、順番まであと何人です』と分かるような仕組みでもいいですね」

撮影のために、取材の最後にマスクを外してくれた岡本先生。終始穏やかな口調で話す様子が印象的でした。
Zoom取材にて
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