お留守番や外遊びが増える夏休み。子どもが一人になった隙を狙い、声かけや連れ去り、性犯罪などの犯罪が増えるため、普段以上に気をつけて防犯対策を行う必要があります。そこで今回、夏休みの防犯対策をご紹介。
連載第1回では、夏休みに犯罪が増える理由や犯罪者に狙われやすい家、留守番時に気をつけるべきポイントまで、一般社団法人日本防犯学校副学長の桜井礼子先生に伺いました。
桜井先生は、「日本初の女性防犯アナリスト」で、ご自身も子育て経験者。「防犯ママ」として、弱者を犯罪被害から守る予知防犯を提唱する活動をされています。
(全3回の1回目)
子どもの一人行動が増える夏休みは危険がいっぱい
夏休みに犯罪が増える理由、それは子どもの一人行動が増えることです。共働き家庭が多くなった現在、学校が休みになると子どもだけで留守番したり、一人で出歩いたりと、子どもが単独で行動する機会が増えます。
犯罪が起きるのは、このような子どもが一人になるタイミング。遊んでいた友だちと別れたタイミングや、トイレに行くタイミングなど、一人になった瞬間が狙われるのです。実際夏休みには、声かけや連れ去り、露出狂、暴力、盗撮、性的犯罪など様々な犯罪が増える傾向にあります。
さらにここ数年は、コロナ禍によって人々のストレスが蓄積しています。ニュースを見ていても、「むしゃくしゃしていたから」「イライラしていたから」などの理由で、暴力や切りつけなどの事件を起こす犯罪者が増えたように感じます。こうしたストレスも、犯罪を助長させてしまうのではと懸念しています。
なお、勘違いしないでいただきたいのは、「男の子だから大丈夫」はないということ。男の子だけを狙う犯罪者は確実に存在しています。さらに言うと、年齢も関係ありません。高齢者を狙った性犯罪も起きているのです。
また、性犯罪においては、警察に届出を出していない事件が非常に多くあります。実際の総数は想像以上に多いと思っておいてください。
ここまで、夏休みの危険性をお伝えして、不安を煽ってしまったかもしれません。しかし、現状を知ることはとても大切です。それが、防犯意識が芽生えるきっかけになるからです。
犯罪者がターゲットにする家とは?
続いて、犯罪者に狙われやすい家について紹介しましょう。夏休みはもちろん、日常的に犯罪リスクを低下させることにつながりますので、しっかりと確認するようにしてください。
犯罪者は家の外からでも、多くの情報を読み取ることができます。例えば、玄関前に置いている子どものおもちゃや三輪車など。子どもが使う物は、言ってしまえば「ここに子どもがいますよ」と教えているようなもの。
また雨が降った後に、玄関前に傘を広げて干しておく方も多いでしょう。しかし、子ども用の傘に書いてある名前を見て、その子の名前を知り、「〇〇ちゃんだよね?」と話しかけて、そのまま連れ去ってしまったという事件も過去にはありました。
さらに、洗濯物も情報量が多いものの一つ。洗濯物を見れば家族構成、さらには年齢や性別まで推測できると言われています。
そのほかにも、窓に貼る子ども向けのデコレーション、子どもの名前が書いてある表札なども、犯罪者にとっては「子どもがいる家」と判断する手掛かりになります。
犯罪者はこれらの情報をもとにターゲットを定め、親の不在時に家に侵入し、犯罪行為を行うのです。
子どもの存在を知らせる情報は、表に出さないようにしてください。