
心配ごとで多いのは「時間」
「保護者の方が最も気になるのは『うちの子はちゃんと食べられるだろうか』ということだと思います」と話すのは、都内の公立小学校で管理栄養士として働く松丸先生。
給食の心配ごとの中でも、特に「時間」について気になる保護者が多いといいます。
「小学校の給食は、準備と片付けを含めて45~50分で終わらせなければいけません。多くの小学校では、喫食(きっしょく※食事を楽しみながらおいしく食べること)の時間は20分程度になります」(松丸先生)
しかし、入学後の約1ヵ月は、そこまで「時間」の心配をしなくて大丈夫。なぜなら、新1年生に向けた特別な配慮が実施されているのです。

「入学後は、全国の小学校がスタートカリキュラム(※1)というものを実施することが義務付けられています。
幼稚園や保育園での生活から変わる子どもたちに、時間割りや学習活動を工夫するのですが、給食についても新1年生用のカリキュラムを組みます。
ちなみに我が校では、4月の間は、喫食に40分の時間を設けるようにしています」(松丸先生)
(※1 スタートカリキュラム:小学校に入学した子どもが、幼稚園・保育所・認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活を創り出していくための カリキュラム。文部科学省が2020年に新設した小学校学習指導要領で、実施が義務化された)
慣らし給食の行う学校も
保育園の“慣らし保育”のように、“慣らし給食”を行う学校もあります。
「おかずを1品減らしたり、こぼすと危ない汁物は出さないようにしたりする学校もあります。
ただ、このような“慣らし給食”を導入すると、食べる時間は早くなりますが、お腹が減ったり、栄養が足りなかったりなど賛否両論あるので、給食の時間を延ばすカリキュラムを実施している学校が多いです」(松丸先生)
このスタートカリキュラムの実施は、たいてい4月いっぱいまで。5月からは普通の小学校生活になるので、「家庭でも20分で食べられる練習はしておいたほうがいい」と松丸先生。