子どもとの対話が「アクティブリスニング」で改善 親子関係をよくする「親のトレーニング」とは? 

信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来 #3

子どもの話は極力聞いてあげよう。  写真:maruco/イメージマート

子どもの成長とアクティブリスニングの関係と注意点

子どもへのアクティブリスニングは、成長段階に応じて方法が変わるのでしょうか。また、成長とともに注意すべきことはあるのでしょうか。

「幼児期のころは親御さんが『○○したんだね~』など、子どもの気持ちや状況を代弁してあげる場合もありますが、話せることが多くなってきたら、できるだけゆったりした気持ちですべての話を聞いてあげてください。

共働きの親御さんの場合は特に、子どもが小学生になると、親子ともにやるべきことが増えて忙しくなります。そうすると、子どもがせっかく話しかけても『ご飯が冷めないうちに早く食べなさい』とか、『いいから早くお風呂に入りなさい』などと、やるべきことを優先して、話をさえぎってしまうことが多くなるでしょう。

事情はよくわかりますが、そのたびに子どもはがっかりして、だんだん話さなくなっていきます。子どもにとってご飯が冷めることは、全然気にならないことだったりもしますので、親御さんは極力、話を聞いてあげてください。

また、『子どものためによかれと思ってあれこれ指図する、先回りする』ことも、アクティブリスニングの対極にあることだと理解しましょう」(赤羽さん)

親子の問題の7割以上を未然に防ぐアクティブリスニングの力

アクティブリスニングは、親子関係に大きな変化をもたらします。

「アクティブリスニングを実践していくと、普段から子どもと向き合う時間が持てるので、問題の7割以上は未然に防止され、解消し、改善します。その効果は驚くほどで、親子関係が変わって人生も大きく変わったと感じる親御さんもいます。ぜひ、だまされたと思って、子どもの話を100%聞くようにしてみてください。

多くの問題が話を聞くだけで自然に解決していきますので、これからの子育てが楽しく、そして楽になるはずです」(赤羽さん)

「アクティブリスニング」は、親子の信頼関係を深め、子どもの気持ちに寄り添いながら問題解決ができるコミュニケーション方法です。また、親の「徹底的に聞く姿勢」が、知らず知らずのうちに子どもに安心感を与え、自己肯定感を育みます。

ぜひ今日から、子どもとの対話にアクティブリスニングを取り入れ、親子で未来を一緒に育んでいきましょう。

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◆赤羽 雄二(あかば ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクター。東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードする。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。近年は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。著書に『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』『速さは全てを解決する 「ゼロ秒思考」の仕事術』(ダイヤモンド社)、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』(日本実業出版社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)など国内28冊、海外30冊出版、計138万部。

取材・文 瀧 千登勢

【信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来】の連載は全3回。
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