子どもとの対話が「アクティブリスニング」で改善 親子関係をよくする「親のトレーニング」とは? 

信頼関係を深める「アクティブリスニング」で変わる親子の未来 #3

アクティブリスニングが親子のコミュニケーションに大切だと理解していても、やっぱり忙しくて時間がとれない方もいるでしょう。子どもが複数人いるなら、なおさらです。個別の時間がとれない親子には、赤羽さんは家族全員で実践できるコミュニケーション方法を紹介しています。

「家族全員が見える位置にホワイトボードを設置して、話し合いの場をつくってみてください。家庭なら小さなホワイトボードなどでもOKです。そして、『夏休みにどこに行きたいか』など、身近なテーマをひとつ決めて話してみましょう。

また、リーダー役も決めて、その人が家族一人一人の発言をそのままホワイトボードに書き出していきます。このとき、発言を途中で要約したり意見を挟んだりせず、最後まで忠実に書き留めることがポイントです。

この方法で家族の連帯感が深まり、さらに親密になれたと感じる方はたくさんいます。

私のもとには、5歳と小学3年生の親御さんから『ホワイトボードを使った家族の話し合いを始めてから、普段はあまり話さない子も自分の意見をハキハキと伝えてくれるようになりました。家族で何かを決めるときにも大変役立っています』という声が届いています」(赤羽さん)

こうした意見共有のプロセスを通じて、子どもには積極性が生まれ、自己肯定感も自然と高まっていくことでしょう。

幼少時代を振り返るトレーニングで子どもへの接し方を考える

時間のやりくり以外に、別の理由でアクティブリスニングが『自分には難しい』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

そのような親御さんに向けて、赤羽さんは次のように話します。

「時間以外の理由で『アクティブリスニングがどうしてもうまくできない』という方は、人の話を聞くより、自分の話を聞いてほしい方が多いように思います。

子どもがせっかく話しているのに、親御さんが毎度のように口を挟んでしまったのなら、次第に我が子は親御さんとの会話に消極的になっていくでしょう。これは避けなければならない事態です。

もし、子どもの話をさえぎっていたと気づけたなら、その改善法として、親御さんは自分自身の子ども時代を振り返るトレーニングを試してみてください。

子どもとのコミュニケーションを見直す方法

 自分が子ども時代に親に対して抱いていた気持ちや思いを、Word(文章作成ソフト)などに書き出すといいでしょう。数回に分けて5000~1万字程度書きます。このとき、親とのやりとりで嫌だったこと、思い出に残っていることなど、率直に書いてみてください。

 親に対し、多面的な視点からA4メモを書くことで、当時の親子関係やコミュニケーションのあり方を深く見直し、自分の子どもとの関わりに活かすことができます。

こうした振り返りは、親御さんご自身のアクティブリスニングへの向き合い方を俯瞰して、我が子とのやりとりを見直す材料として非常に役立ちます」(赤羽さん)

また、紙に改めて書くという行為は、日常の思考を整理する方法としても赤羽さんは推奨しています。

「子育てに関する疑問や感じたことを、A4用紙に1ページ1件、4~6行で20~30字程度、1分以内で書き出してみましょう。頭の中がクリアになるだけでなく、自分を客観的に見つめることができます。

日常の思考を整理するためのテーマ例

子どもが最近、反抗的なのはなぜだろう?
子どもの将来についての不安と期待
家族の時間を増やすために工夫すべきこと など

思いついた言葉をそのまま書き出すことで思考が整理され、何が本当の課題かが見えてきます。また、子どもがアクティブリスニング中に話したことを書き出した場合は、我が子の気持ちや考えもさらに見えてくるはずです。

アクティブリスニングがどうしてもうまくできないときも、頭の中をクリアにしたいときも、ぜひ紹介したトレーニングを試してみてください」(赤羽さん)

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