幼児の運動神経は「昔遊び」が育てる 効果を上げる親の関わり方を専門家が伝授

【子どもの運動神経を開発する方法 #2】幼児期ほど親の関わり方が重要。一緒に遊んで能力アップ!

ポイント①「ダメ」と言わない(運動神経を開発する親の関わり方)

大人もですが、子どもは「ダメ」と言われると、否定された気持ちになったり、行動が制限されて嫌な気持ちになってしまいます。幼児期は楽しむことが大事なので、できるだけ子どもに命令したり、指示するのは避けましょう。

もちろん、危険な行動をしていたら注意することは大事ですが、その際はなぜ注意するのかといった理由を必ず説明してください。わかりやすい言葉で伝えれば、子どもは理解してくれるものです。

ポイント②失敗しても怒らない(運動神経を開発する親の関わり方)

失敗をして怒られると、運動自体を嫌いになってしまうことがあります。また、成功・失敗にこだわると、楽しんで運動できません。

失敗は成功のもとです! もし失敗をしてしまったら、子どもを怒らずに原因を一緒に考えてみましょう。

例えば、遊んでいるときに他の子とぶつかってしまったとします。その際は、「今、なんでぶつかっちゃったんだと思う?」と聞いてみてください。すると、子どもは自分で考えて答えを出してきます。そうしたら、「じゃあ、それに気をつけてもう1回やってみる?」と、挑戦を促してあげましょう。

そして大事なのは、再挑戦している様子をしっかり見守り、成功したら必ず伝えることです。きちんとフィードバックをすることで、子どもの自己肯定感につながったり、やる気がますます高まります。

幼児期は、失敗に対してもネガティブなイメージを持っていません。「失敗をしてもいいんだよ」とママ・パパが伝えて、どんどん挑戦をさせてあげましょう。

実際に私が指導協力をしている園では、英語とコーディネーション運動を組み合わせたプログラムを取り入れていますが、子どもは失敗を恐れずに、英語をどんどん話します。失敗をネガティブなものとして考えずに育てば、今後の人生においても、失敗を恐れずに積極的に挑戦していくことでしょう。

「ユニバーサルキッズ横浜」での指導風景。運動と組み合わせることで、英語の習得もしやすくなります。  写真提供:コーチングバリュー協会

ポイント③子どもを観察し、適宜サポートを(運動神経を開発する親の関わり方)

ママ・パパの役割の一つが、子どもの運動意欲を引き出してあげること。そのためには、子どもをしっかり観察する必要があります。

遊んでいるときにも、子どもがどこに興味を示しているかを観察しましょう。一つの遊びや動きに夢中になっているなと気づいたら、その動きを止めずに、気が済むまでやらせてあげてください。子どもはどんどん熱中し、さらなる楽しさを見つけるはずです。

また、子どもはときに、大人では思い浮かばないような面白い動きや、高度な動きをすることがあります。小さなころほど無自覚に動いていることも多いので、そうした動きを発見したら、「今、こんな動きをしていたけど、どうやったの?」と、気づかせてあげましょう。そうすることで、子どもの有能感にもつながっていきます。

運動する楽しさを体験させてあげよう

「幼児期は、子どもが自主的に運動をするための準備期です。このころは特に、ママ・パパも一緒に遊ぶことが大切です。大好きなママ・パパが楽しそうに遊んでいるのを見るだけで、子どもは自然と楽しくなっていきます。

幼児期に体を動かすことの楽しさを知れば、その後の人生においても運動が好きな子に育ち、それが結果的に運動神経を開発することにつながります。ぜひ、子どもと一緒に昔遊びとコーディネーション運動を楽しんでみてください」(東根先生)

シンガポールの「Eis International Pre-School」での親子コーディネーション運動のようす。ママ・パパと一緒に楽しく運動をします。  写真提供:コーチングバリュー協会

続く第3回では、運動神経が著しく成長するゴールデンエイジに子どものコーディネーション能力を伸ばす方法を紹介します。

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◆東根 明人(あずまね あきと)
一般社団法人コーチングバリュー協会代表理事。東京保健医療専門職大学特任教授。
1981年早稲田大学教育学部卒業。1984年順天堂大学大学院修了。1995年JOC(日本オリンピック委員会)の在外研修により、ライプチヒ大学(ドイツ)に留学しコーディネーショントレーニングを学び、以後日本での普及に取り組む。JOCタレント発掘プロジェクト、日本体育協会ジュニアスポーツ指導員カリキュラム策定委員を務めた。主な著書に、『「動きことば」で苦手な子も楽しめる! 幼児のためのコーディネーション運動』『楽しみながら運動能力が身につく! 幼児のためのコーディネーション運動』(明治図書出版)など。


取材・文/阿部雅美

『子どもの運動神経を開発する方法』の連載は、全3回。
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(公開日までリンク無効)

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あずまね あきと

東根 明人

Akito Azumane
東京保健医療専門職大学特任教授

一般社団法人コーチングバリュー協会代表理事。東京保健医療専門職大学特任教授。 1981年早稲田大学教育学部卒業。1984年順天堂大学大学院修了。1995年JOC(日本オリンピック委員会)の在外研修により、ライプチヒ大学(ドイツ)に留学しコーディネーショントレーニングを学び、以後日本での普及に取り組む。JOCタレント発掘プロジェクト、日本体育協会ジュニアスポーツ指導員カリキュラム策定委員を務めた。 【主な著書】 『「動きことば」で苦手な子も楽しめる! 幼児のためのコーディネーション運動』『楽しみながら運動能力が身につく! 幼児のためのコーディネーション運動』(明治図書出版)など

一般社団法人コーチングバリュー協会代表理事。東京保健医療専門職大学特任教授。 1981年早稲田大学教育学部卒業。1984年順天堂大学大学院修了。1995年JOC(日本オリンピック委員会)の在外研修により、ライプチヒ大学(ドイツ)に留学しコーディネーショントレーニングを学び、以後日本での普及に取り組む。JOCタレント発掘プロジェクト、日本体育協会ジュニアスポーツ指導員カリキュラム策定委員を務めた。 【主な著書】 『「動きことば」で苦手な子も楽しめる! 幼児のためのコーディネーション運動』『楽しみながら運動能力が身につく! 幼児のためのコーディネーション運動』(明治図書出版)など

あべ まさみ

阿部 雅美

Masami Abe
ライター

タイ・バンコクの日本人向け情報誌・WEBメディア、東京の編集プロダクションを経て、フリーランスの編集・ライターに。そのなかで保育雑誌や書籍、企業誌、食メディアなど様々な媒体を経験。 現在は、育児・教育や占い、グルメなどさまざまなジャンルの記事を編集・執筆している。

タイ・バンコクの日本人向け情報誌・WEBメディア、東京の編集プロダクションを経て、フリーランスの編集・ライターに。そのなかで保育雑誌や書籍、企業誌、食メディアなど様々な媒体を経験。 現在は、育児・教育や占い、グルメなどさまざまなジャンルの記事を編集・執筆している。