「食べたいものは自分で作る!」をモットーに、料理家・越野美樹さんが「日本の伝統食材」を使ったレシピを提案する連載。
ロハス、エシカル、SDGsなどのオシャレな横文字ではなく、毎日のベタでリアルな生活の中から生まれた身近な知恵……。
小さい子がいて忙しくても、ゆるく続けられる台所仕事の「MOTTAINAI」を、具体的な実践方法を交えてお伝えします。
20回目のテーマは、「ところ天」。
さっぱりしながらも満足感のある、「ところ天冷製ごま豆乳スープ」、「ところ天フルーツポンチ」、「ところ天中華サラダ」の3種をご紹介します。
思わず一緒に作りたくなる「お手伝いポイント」も載せていますので、親子で一緒に楽しんでくださいね。
「MOTTAINAI」 台所から未来の子どもを支えるごはん 全シリーズを読む
暑い日に食べたいところ天
毎日暑いと、食欲もなくなり、さっぱりした冷たいものが食べたくなりますね。
そうめんもいいけれど、ところ天も食べてみませんか?
ところ天は昔から、夏の風物詩。
よく冷やしていただくと、体をほどよくクールダウンしてくれます。
我が家では、夏になるとよく食べているので、娘も大好きな食材。
ですが、海藻の香りや、酸っぱいものが苦手なお子さんには、なかなかなじめない食品といえます。
今回は、ところ天を食べやすくした、アレンジ料理3品をご紹介します。
その前に、ところ天についてご紹介しますね。
ところ天は天草などの海藻を煮て、煮汁をこし、固めたもの。
ところ天つきに入れて線状に突き出していただきます。
ところ天の豆知識
関東では酢醤油やからし、青のりなどをかけて、関西では黒みつをかけて食べられることが多いでしょう。
天草は数十種類あり、固く仕上がるもの、弾力があるものなどそれぞれの特徴を活かして、ところ天の作り手がブレンドして使っているようです。
天草は海に生えているときには赤い色ですが、洗って干すことを何日か繰り返すうちに、黄色っぽく変色します。
ところ天は、もともとは天草の古名である「凝海藻(こるもは)」と呼ばれていたそうです。
「心太」と書いて「ところてん」と読みますが、心は「凝る(こる)」から変化し、太は太い海藻に由来し、「こころぶと」と呼ばれていました。
それが「こころてい」「こころてん」、そして「ところてん」に変化していったといわれています。
ところ天は中国から、精進料理の伝来とともに伝わりました。
一般に広まった江戸時代には、夏になるとところ天売りが売り歩いていたという記録があります。
ところ天は独特の香りがあり、食べにくいお子さんもいるかもしれません。
味に特徴がなく、海藻の香りが独特なところ天ですが、合わせる食材によって子どもも食べやすく、「おかわり!」の声が聞こえるはずです。