子どもを「あそびの中で育てる」アート×教育を実践できる簡単な方法

『こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て』を読破!

ライター:筒井 裕子

AI時代を生き抜く子どもにとって大事という非認知能力。それを伸ばすには子育てにアートを取り入れるといいらしい……って、実際どういうこと?
3児の母ライターが、育児本から学んだヒントを紹介します。

写真:アフロ
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『こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て』を読破!

今回は、アートを通じて子どもの才能は伸ばしていける、というお話。
直感と感性が求められる、正解が存在しないアートの世界。子どもが絵を描いたり工作したりと、思いのままに手を動かしているその時に、まわりの大人がどう接し、どう声かけするか。それ次第で子どもの将来をも変える可能性があるほど影響力のある時間になるというのです。

“クリエイティブなあそび”の中でこそ子どもは伸びる。「アート×教育」という試みの中に、これからのAI時代を駆け抜ける子どもたちに必要な“生きる力”の素がたくさんありました。

「こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て」(著:井岡由美、監修:高濱正伸)

子どもの作品を見た時につい言いがちな大人のNGワード

大人がどんな接し方をすればアートで子どもの才能を伸ばせるのか。
まずは大半の親御さんが悪気なく言っているであろう、本書でいうところのNGワードからみていきましょう。私自身ももちろん日々NGワードの連発でしたよ。読んで納得、即実践した部分です。

例えば、子どもが紙にぐるぐる、グシャグシャと何かを描いている。それを嬉しそうに自分のところに持って来てドヤ顏。そこであなたならなんと声をかけます? 
わぁ、上手! これは何を描いたのかな?
私なら、あまり深く考えず、こんな感じの返答がお決まりパターンでした。でもこれ、ダメなんですって! 何故でしょう。
 
まず、“上手”という言葉。ほめて伸ばそうと思うなら、つい使ったりしますよね。でもこれは無意識に子どもを評価していることになります。
アートのような自由な表現をしたときは、別の人間が上手や下手などと評価すべきではないのです。評価されることを意識して大人にほめられるために上手に描こう、と思ったその瞬間から、もうそれは自由な世界ではなくなってしまう……。

本書には

「自由」の中にあるときにこそ、子どもたちは本来の力を発揮し、心も同時に動かしながら学んでいます

という一節があります。
親は無意識に子どもから自由を奪い、無限の可能性を日々摘み取ってしまっているのかもしれません。なんとまあ、悪気のない罪を日々犯していたのでしょう。

そしてもう一つ、何を描いたのかという答えは追求する必要がないんです。好きな色を使って心の赴くままに手を動かし表現した“何か”はそもそも具体的なものではない場合も多く、何かでなければいけないルールは一切ないんですよね。
いやはや、つい全てのものに意味を持たせようとしてしまうのは大人の悪い癖ですね。

子どもの作品をありのまま受け止め、喜び、鑑賞することが大切

ではどんな対応が正解なのか。答えはとてもシンプルで、絵を見て自分自身の感じたことをそのまま言葉にして伝えること。例えば「この色使いがとても綺麗だね」。

これは何なのか、を求めるのをやめると、質感や手触り、色彩の魅力、形態の面白さに目が向き、子どもの作品を純粋に楽しみ、感じることができるようになるのだと。
「ポイントは何ですか?」などインタビュー形式に質問してみてもいいんです。

大人と子どもの上下関係はなく、対等な立場で作品を見て楽しむ姿がそこにはある。これは正解のないアートという世界だからこそ。
全員が一人のアーティストであり、大人が子どもに教えることや正解なんて、どこにも存在しないのです。

どうか、子どもたちの分身である作品を、ただ喜びとともに鑑賞してあげてください。それは、子どもたち自身を丸ごとすべて認めてあげる、ということになるからです

なるほど、ということは、親の対応ひとつでアートの世界から自己肯定感を高めてあげられるのかもしれません。

子どもの創作活動を見守るうえでの親の心得

間違っても大人は上手に描いてつくるスキルを教える存在ではなく、創作という行為を通じて、感性を磨き、自主性や意欲、創造する力、表現力を子どもから引き出していける存在であることが大事だといいます。そのために親が心がけておくべきことをまとめます。

まず、子どもが作業中はできる限り手を出さない、そして声をかけないこと
自分で何かをつくり出そうとしているときは、とてつもない集中力を発揮しているとき。まずはじっくり観察すること。そして依頼があれば手助けをし、支えつつ、邪魔せず見守ること。

また、自分の価値観を押し付けないこと。子どもを尊重し、それはダメと決めつけないこと。
そこでやめればきれいに仕上がるのに、というのは大人の感覚。もっとこうしたらどうなるのだろう、という子どもの好奇心にストップをかけてはいけないのです。

そして、子どもたちの「何をすればいいの?」には、「何がしたいの?」で答え続け、考えることを子どもにゆだねること。と同時に大人自身もどうしたいのか、にきちんと向き合い続けること。
これは単に子どもに丸投げをするのではなく、子どもをしっかり尊重するという姿勢のあらわれです。

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