「きみには向いてないよ」っていわれたら？　【今日の禅語】大愚元勝・福厳寺住職

本記事は現在発売中の書籍『１日３分でしなやかな心が育つ　禅のことば』の一部を抜粋、編集したものです。

これは宋の時代の仏教の歴史書『景徳傳燈録（けいとくでんとうろく）』に出てくることばです。

湯飲みに入っている飲みものが温かいか冷たいかは飲んでみないとわからない、という意味です。

ここで
「湯気が出ているのが見えれば、飲まなくても温かい飲みものだってわかるよ」
と思う人がいるかもしれません。

でも、ここでほんとうに大事なのは、その飲みものが温かいか冷たいかではなく、「自分がどう感じるか」なのです。

たとえば、音楽の授業でリコーダーをふくのが苦手で、
「あんまり楽器の演奏は向いてないのかもね」
と人からいわれてしまったとしましょう。

でも、もしかしたらピアノはすごくうまくなることがあるかもしれません。

ほかの人から
「あなたは向いてない」
「あなたは、これは好きじゃないと思う」
といわれて、それだけでやらないと決めてしまうのはもったいないことです。

あまり人のいうことに左右されず、気楽な気持ちで
「とりあえずやってみる」
と、じつは自分の得意なことが見つかったりすることがある。

それをこのことばは伝えているのです。