
上橋菜穂子の最新作を「食事を忘れて一気読み」長い眠りから覚めた“秘蔵作”に書店員が驚愕!
2026年1月22日刊行『神の蝶、舞う果て』のレビューを公開
2026.02.11
『精霊の守り人』、『獣の奏者』、『鹿の王』など、圧倒的な没入感を誇る作品で知られる上橋菜穂子さん。その代表作である「守り人」シリーズと並行して書き進めていた秘蔵の物語が、ついに解き放たれました。
タイトルは『神の蝶、舞う果て』。20年以上前に描かれた本作は、円熟の域に達した著者自らの手により全面的な加筆修正が施されました。その注目度は高く、発売前からAmazonの「SF・ホラー・ファンタジー」部門で1位を獲得。多くの読者が待ち望んでいました。
この記事では、書店員、図書館関係者、教育関係者の方々の熱い感想をご紹介します。
※一部ネタバレを含みます。
「多様性と人間同士の繋がりについて考えさせられる物語」
「寝食を忘れて一気読みをしたのも久しぶりです。
上橋菜穂子さんらしい、どこにもない誰も知らない世界で語られる物語。読んでいるとあっという間に、知らない文化や暮らしの中に放り込まれます。語られる食べ物の美味しそうなところも期待どおり。国の成り立ちに関わる(人間も含めた)生き物の在り方。宗教的崇拝の在り方は、政治や地域格差、階級や生活にも影響を及ぼし、相変わらずスケールの大きい話です。
主人公である少年少女が翻弄されるなか、年長の男女が寄り添って、最後には救いも。それにしても、描かれる植物の荒々しいまでの生命力や、幻想的な蝶の視点で俯瞰される世界と、推測される歴史に圧倒されます。宗教上、極めて重要である「永久の祈り」と庶民の「呪い歌」が、同じ内容を表していることを、言語の違いで気づかないようになっていたり、最後まで読んで「なるほど」ともう一度読みたくなります。
単巻なので、あっという間に読み終えましたが、満足感は高いです。この作品から「獣の奏者」や「鹿の王」「香君」へと続いていく流れは、とても自然で、これらの作品をまた読み直したくなりました。」
(図書館関係者、NetGalleyに寄せられたレビュー)
「上橋さんの哲学やテーマ、しっかりとした土台に支えられたストーリー、世界観、キャラクターが確かにあり、短い物語のなかに凝縮されていて読み応えがありました。
この物語を読んでいてまず思い浮かんだのが、「多様性」という言葉でした。私たちの住む世界は、人間以外のさまざまな生物たちも存在しています。姿も形も生き方も異なる彼らと私たち人間たちの間は、見えない糸で繋がっているかのように、決して無関係ではいられません。
この世界は元々「多様性」ありきで生きている。それは本当に奇跡のようなバランスで成り立っていて、ほんの少しの崩れであっさりと壊れてしまう。「多様性」という言葉の意味を改めて考えずにはいられない、と感じました。
そしてもう一つ、「人間同士の繋がり」についても考えないではいられませんでした。決して一枚岩ではない神官たち、出身地の異なる降魔士たち。これらの背景には国や、文化、歴史などの違いが複雑に絡み合っています。自分と同じ背景を持つものとなら、「共感」という形で関係を結ぶことができます。
ではそうでない相手とはどうやって関係を結ぶのか。そのとき必要なのは「共感」ではなく、自分と相手の違いを受け入れる力が必要になってくる。それはルクランへ向ける人々の視線、相棒のジェードが抱いてしまった彼女への恐怖心にも関係してくる。ファンタジーとは現実を生きる私たちにとって、身近な物語なのだと思いました。」
(書店員)








































































