整体ボディワーカーの山上亮さんに教えてもらう整体的子育て連載。
最終回となる第4回では、家族や身近な人とふれることの大切さについて教えてもらいました。(全4回の4回目。第1回、第2回、第3回)
ふれあうことで子どもも親も幸せになれる
コロナ禍ではソーシャルディスタンスを取るのが当たり前。
”身体にふれるなんてもってのほか”という時代になっています。
しかし、心と身体を健やかに保つには、ふれることは必要です。
せめて家族や親しい人たちの中では、ふれることが当たり前になって欲しいんです。
小さいころからたくさん人の身体にふれておくと、人の身体にふれたり手当てをすることが自然にできるようになります。
それは未来の家族のためにも大切なことです。
また幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンは、ふれられる人だけでなく、ふれている人にもより多く出ることが研究から分かっています。
家族みんなでお互いにふれあって、幸せをいっぱい感じて欲しいですね。
親子だけでなく夫婦もふれられる環境を
小さいときにたくさんふれておかないと、思春期を過ぎてからふれようと思ってもなかなかふれられるものではありません。
ふれること自体に拒否感まで出てしまうかも知れない。
ふれることに対する親和感は、子どもの頃にいかに気持ち良くふれられたかということが大きいんです。
ですからお子さんが小さい頃からとにかくいっぱいふれてあげてください。
それにふれることは、親子はもちろん、夫婦にも、と私は思っています。
自然にさりげなくふれられる環境が生まれてきたら、親子関係も夫婦関係もずいぶん変わってくるのではないでしょうか。
話すことと同じくらい、ふれることも大事
今回、整体的子育てとしていろいろなことを説明しましたが、難しいことはすべて忘れていいです(笑)。
細かい知識より、5分子どもにふれる時間を作ってもらいたい。それだけです。
お子さんが小さいときはふれさせてもらえますが、大きくなっていくとスキンシップは少なくなっていきます。
その中で『家族で手当てする』ということを、当たり前の文化として育てておくと、手当ての型としてふれることが自然と生活の中に存在していきます。
例えば、『お父さん、お母さんに整体してもらう、マッサージしてもらう』という型があるとします。
小さいときは「抱っこして」と言えますが、少し大きくなってから、子どもが何となくふれて欲しいなと思ったときに、「抱っこして」とは言いづらい。
でも「ちょっと整体して」というのは口に出しやすいんです。
ふれあうことがなくなっていくと、子どもはすべて抱え込んでしまうことがあります。
心も身体もバリバリに固まっているのに、ゆるめることができない。
それはつまり、頼ることができないということです。
子どもが身体が抱え込んだことを、親御さんは身体にふれてあげることで流してあげてください。
心に抱え込んだことを人と話して気持ちがスッキリするのと一緒で、お互いにふれているとゆるんでいきます。
ふれることは、話すことと同じくらい大事なことです。
他人とはふれることも話すことも難しい今、できるだけ家族の中ではふれあってみてくださいね。
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忙しい毎日の中で、子どもとじっくり向き合う時間を取るのはなかなか大変なことですが、寝る前の5分だけ子どもにふれる「手当て」の時間にあててみる。
その時間はきっと、ふれるほうもふれられるほうも、幸せホルモンのオキシトシンが分泌され、リラックスできる時間へと変わるのではないでしょうか。
コロナ禍の生活に、整体的子育ての考え方をぜひ取り入れてみてください。
取材・文/石本真樹
※手当ては子どもが痛がらずに心地よく感じる力加減で行ってください。痛みを感じるときは中止し、傷や疾病、身体症状を有する場合は医師の診察、アドバイスを受けるようにしてください。
山上 亮
整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナーの思想から人が元気に暮らしていける「身体技法」と「生活様式」を研究。 整体指導、子育て講座、精神障がい者のボディワークなど幅広く活躍中。 主な著書に『子どものこころにふれる 整体的子育て』、『整体的子育て2 わが子にできる手当て編』、『こどものしぐさはメッセージ』(すべてクレヨンハウス刊)など。
整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナーの思想から人が元気に暮らしていける「身体技法」と「生活様式」を研究。 整体指導、子育て講座、精神障がい者のボディワークなど幅広く活躍中。 主な著書に『子どものこころにふれる 整体的子育て』、『整体的子育て2 わが子にできる手当て編』、『こどものしぐさはメッセージ』(すべてクレヨンハウス刊)など。