【日本版DBS】「こども性暴力防止法」認定マークがある塾でも危険? 小児性犯罪者は「9割が初犯」という現実[専門家が監修]

加害者臨床の専門家・斉藤章佳先生インタビュー #1「親が知っておきたい制度の限界」 (2/3) 1ページ目に戻る

西川口榎本クリニック副院長:斉藤 章佳

なぜ日本版DBSが必要なのか──相次ぐ子どもの性被害

教員や塾講師、部活動や習い事のコーチ、保育士など、子どもに関わる立場を利用した性犯罪が、相次いで報じられています。

・インターネットゲームで知り合った女児に裸の写真を送らせたなどとして保育士の男が逮捕(2025年1月)。

・女子小学生にわいせつな行為をしたとして不同意わいせつの疑いで小学校教諭の男を逮捕(2025年3月)。

・ソフトボールチームの教え子だった少年複数人にわいせつな行為をしたなどとして、不同意性交や不同意わいせつなどの罪で元コーチを起訴(2025年5月)。

・男子小学生にわいせつな行為をしたとして不同意わいせつの疑いで塾講師の男を逮捕(2025年12月)。

これらは、2025年に報道された小児性犯罪のごく一部にすぎません。性被害は表沙汰にならない「暗数」が非常に多いとされているため、実際の被害は、報道や統計に表れる数をはるかに上回っていると考えられます。

内閣府男女共同参画局が2023年に公表した「こども・若者の性被害に関する状況等について」(※1)によると、16~24歳の若年層のうち、4人に1人以上(26.4%)がなんらかの性暴力被害を経験していることがわかります。

また、いわゆる強姦・レイプにあたる強制性交罪(現在、不同意性交罪)の認知件数(警察が事件を認知した件数)は、被害者が20代以下であるケースが8割以上を占め、10代以下に限っても4割以上に。

とくに0~12歳の子どもが被害者となる認知件数は、2018年と比べて1.4倍以上に増加しています。

※1=こども・若者の性被害に関する状況等について/内閣府男女共同参画局

子どもや若者が被害者となる強制性交罪の認知件数は増加傾向。とりわけ0~12歳は、その伸びが顕著だ。  出典:「こども・若者の性被害に関する状況等について」(内閣府男女共同参画局)
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こうした状況下で、子どもたちを守るために設けられたのが2026年12月施行予定の「こども性暴力防止法」(日本版DBS)です。

これは、子どもと接する業務に就く人について、過去の性犯罪歴(刑の終了から最長20年)の確認を義務づける制度のこと。イギリスのDBS(Disclosure and Barring Service)制度を参考にしたため、日本版DBSと呼ばれています。

学校や認可保育所、児童養護施設など公的施設は一律で対象となり、送迎バスの運転手や警備員らも現場の判断で対象となります。

一方、学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブなどの民間事業者は、日本版DBSへの参加は任意。過去に盗撮事例が報道された学習塾業界では、大手を筆頭に日本版DBSへの申請を検討、表明する動きが広がっています。

日本版DBSに基づき子どもの安全確保に取り組んでいると認められた事業者には、認定事業者マーク「こまもろう」が付与されます。私たち利用者側から見れば、性被害防止の観点から一定の基準を満たしていることを国が確認したという安全の目印ということになります。

写真中央のフクロウが認定事業者マークの「こまもろう」。認定事業者マーク発表会ではタレントのダンディ坂野氏も「子どもを守るマークをゲッツ!」と取得を呼び掛けた。施設の看板やホームページ上に掲示される予定。  写真:「こども性暴力防止法認定事業者マーク発表会」(こども家庭庁)

はたしてこの目印がある場所ならば、本当に子どもは守られるのでしょうか──。ここで一度、「制度で守れる範囲」と「それでも残る課題」を整理してみます。

日本版DBSだけでは小児性被害がふせげない大きなワケとは

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