人間関係をすぐに「リセット」したくなる人の特徴とは 早稲田大学の教授が解説
早稲田大学の教授・石田光規さんが教える「友だちがしんどい」がなくなる方法(2)
2024.03.18
早稲田大学文学学術院教授:石田 光規
「友だちとの会話に無理して合わせてしまう」「ケンカになるのがこわくて、友だちに自分の意見が言えない」「メッセージの返信に遅れないように必死になる」などなど、友だちとの付き合いで疲れてしまう人が大人も子どもも増えています。なぜそうした「しんどさ」は生まれるのか? どうすればその「しんどさ」は軽くなるのか? 孤独・孤立と人間関係について長年研究している専門家であり、『友だちがしんどいがなくなる本』を上梓した石田光規さんが伝えるヒントをご紹介します。
「人間関係リセット症候群」とはなにか?
2010年代半ばごろから、「人間関係リセット症候群」という言葉を耳にするようになりました。
友だちとつき合って一定の期間がすぎると、テレビゲームをリセットするかのように、これまでのつながりを一掃する。そうした人が増えているのです。
たしかにこれまでも、引っ越しや高校入学、大学入学などの節目で、人間関係を一変させる人はいました。
しかしそれは、節目を利用した現状変更の試みのようなもので、そこに自ら関係を消去する冷たさのような響きは有りませんでした。
一方、「人間関係リセット症候群」には、自ら関係を切断する冷たさがあります。
友だちかどうかは、すぐに判断しなくていい
ここで大事なのは、人間関係リセットという行為が「とにかく友だちといたい」「友だちなんかいらない」という両極端な考え方と、とても近しいことです。
「とにかく友だちといたい」と無理した結果、くたびれてしまい、「友だちなんかいらない」と関係をリセットする。
こうしたことを繰り返しても、「中身を隠さなくてよい」友だちはなかなかできないでしょう。
私たちにとって重要なのは、つながりを友だちかどうかで振り分けるのではなく、まず「つながりのなかに身をおくこと」です。
だれかが友だちかどうかなんて、何年か先にゆっくりと考えればよいのです。
そこを無理して、居合わせた人と友達になろうとすると、肩に力が入ってしまい、ゆっくりとその場にいることがむずかしくなってしまいます。
いまいる友だちにこだわりすぎないのが大事
周りを見渡すと、私たちがだれかとつながることのできる場はたくさんあります。
多くのボランティアはつねにメンバーを募集していますし、本を読むのが好きな人なら、読書会などもよく開催されています。
スマホを使ってなんらかの場を検索してもよいと思います。
いま、つながっている友だちに目を向けすぎると、そうしたつながりの可能性を見落とします。
いまの友だちとうまくいかなくても、行ける場所はたくさんあるのです。
なんらかの場に身をおき、知り合いとつながって、会話や友だちはプラスアルファくらいに考える。
そうしたことで人づき合いがラクになることもあるのです。
石田 光規
1973年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学学術院教授。東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。博士(社会学)。著書に、『友人の社会史』(晃洋書房)、『孤立の社会学』、『つながりづくりの隘路』『孤立不安社会』(以上、勁草書房)、『「人それぞれ」がさみしい』(ちくまプリマー新書)。おもな著書に『友だちがしんどいがなくなる本』(講談社)、『「友だち」から自由になる』 (光文社新書)がある。
1973年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学学術院教授。東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。博士(社会学)。著書に、『友人の社会史』(晃洋書房)、『孤立の社会学』、『つながりづくりの隘路』『孤立不安社会』(以上、勁草書房)、『「人それぞれ」がさみしい』(ちくまプリマー新書)。おもな著書に『友だちがしんどいがなくなる本』(講談社)、『「友だち」から自由になる』 (光文社新書)がある。