「学校の困りごと」「友人トラブル」「不登校」 悩めるママたちの相談先や解決事例を大公開

ママたちの経験談から学ぶ、学校生活お困りごとの対処法

写真:アフロ
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「人間関係でイヤな思いをした」「学校に行きたくない」……学校生活における子どもの悩みは尽きることがありません。

悩みをできるだけ早期にとらえて深刻化しないようにアドバイスや声かけをすることは大切であり、事後の対応や支援のみでなく、未然防止・早期発見が重要との見方を文部科学省は示しています。

我が子からの早期SOSに気づいたママたちは、誰に相談し、どのような行動を起こしているのでしょう。日常のなかの子どもからのサインを見逃さないためのコミュニケーション方法もご紹介します。

参考:文部科学省「学校における教育相談の充実について」
   文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について(概要)~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

こんなときどうする?お困りごと事例の紹介

他学年の友だちとのトラブル
集団登校の地域にお住まいのAさん親子の事例。まずは事の発端からうかがいました。

「登校時に子どもが上級生と揉めた話です。人との距離感が近いというか人懐っこい性格の小1の息子。同じ集団登校班の上級生にあこがれをもったようで、お兄さんたちにずっとくっついていったり会話に入りたがったり。

ある上級生はそれがイヤだったようで、『悪口を言われた』と子どもから相談がありました」

そのSOSに対して、Aさんはどんな対応をとったのでしょうか。

「相談するにしても、どこに? 誰に? こんなこと相談していいのかな? と、悩みましたし、学校か地域のどちらに相談すべきか迷ったものの、まずは担任の先生へ連絡帳に書いて相談しました。

その後、息子・息子の担任・相手の子・相手の子の担任の4名で話し合ったようです。息子に対してややキツイことばを言ってきた相手の子に対して『どんな理由があってもそんなことを言ってはいけないよ』という指導があったようで、安心しました。

なので、まずは担任の先生に言えばいいんだ、言っていいんだとわかりました。全校生徒700人の小学校ですが、1対1の小さなトラブルにもよい対応をしてくれたと思って満足していて、信頼できるなと思ったできごとでした」


行き渋り、不登校
次は、お子さんが不登校になった経験をもつBさんのエピソードです。

「小学2年生だった子どもが、行き渋りから不登校に。当時の担任の先生は『励ましたら来られる』という考えの方であまり理解が得られず、我が子との相性はイマイチだと感じました」

担任の先生では解決が難しそうだと感じたBさんは、どんな行動をとったのでしょう。

「まず学年主任の先生へ相談すると同時に、娘と相性がよい、前の担任の先生に話をしました。前担任の先生から子どもへのヒアリングをしてもらい、さらにそこからスクールカウンセラーにつないでいただきました。
カウンセラーさんは、子どもの学習サポートのために私が週2回学校に課題を取りにいったり学習指導要領を読ませてもらったりとがんばっていた姿を見てくれていて、『ここまで行動しているお母さんが言っているのだから、もう少し協力したらどうですか』と校長先生たちへ強めに言ってくれました」

困りごとの相談相手は?

最初の相談相手は、担任の先生をはじめとする学校の先生方に相談をするママがやはり多いようですね。ママたちの経験や考えをさらに聞いてみましょう。


子どもの「行き渋り」にお悩みのDさん
「スクールカウンセラーに1時間ほど話を聞いてもらったことがあります。学校に行きたがらない子どもについて『担任からは無理でも連れてきてといわれたが、どうしたらいいですか?』と聞くと、『あまりいい対応ではないと思います』と受け止めてもらえました。
その後、先生側の対応がやわらかくなったと感じました。情報がどこまで共有されたのかわかりませんが、学校と連携してくれている気がします」


お子さんが不登校になった経験をもつBさん
「子どもに、『イヤイヤ行ったところで楽しくないよね。あなたのペースで家にいてもいいんだよ』と伝えており、私が家で仕事をしている横で子どもは課題をやるなど、“一緒にやっている感”を出すようにしています。
このやり方でいいのかと迷ったときは、県が設置している保護者用の教育相談窓口(※)に電話をします。『これ(現在の対応)を続けた場合の影響とか、もっとよい提案があれば教えてほしい』と聞くと、客観的に答えてくれるんです」


ママと学校側の考え方が異なった場合、子どもにとっていい選択はどれなのか非常に悩みますよね。そんなとき、客観的な立場で意見を述べてくれるスクールカウンセラーや教育相談窓口といった第三者機関に相談してみるのはいい方法かもしれません。

文部科学省「子供(こども)のSOSの相談窓口」

相談するときのポイント

続いて、ママたちが相談する際に気をつけていることやポイントをうかがいました。


「私の住んでいる地域特有の事情なのか、オンライン授業をしてほしいという要望に対応してもらえず。不登校の仲間を集めて意見書をつくり、町議会議員さんと一緒に教育委員会に頼みにいきました。『こんなに要望があるなら教育委員会に話にいってみよう』と動いてくれました」(Bさん)

オンライン授業の導入を望んでいたBさんは、このように話してくれました。ひとりの意見ではなく大勢の声を集めることで説得力が増すように思います。


「『児童支援専任(※)』の先生と仲良くなり、子どもにトラブルがあったときはまず児童専任の先生に相談します。次は教頭先生、その次は校長先生、というように相談先を段々レベルアップするようにしています」(Cさん)

Cさんのように相談相手を段階的に変えていく方法はぜひ参考にしたいですね。


※児童支援専任教諭:学級担任はせず、児童生徒の支援や指導を専任する教諭。小学校でのトラブルに専門的に対応しスクールカウンセラーとの連携を果たす役割を担う。配置は一部の自治体に留まる。

子どものサインに早く気づくために、今からできる工夫

トラブルのタネは、大きくなってしまう前に気づきたいもの。子どもからのサインを見逃さないためのコミュニケーション方法やママたちが子どもとの会話で工夫していることを教えてもらいました。


「幼稚園児のころは先生方との距離も近く、送迎時にようすを見られたのですが、小学生になってから一気にわからなくなりました。サインを見逃さないようにしたいので、『困ったら、先生かママのどっちかでいいからお話してね』というのを伝えています」(Aさん)


「フルタイムの仕事があって忙しいなかでも子どもと話す時間をとるよう心がけています。『言葉にするのが難しければ、なんでもいいから紙に書いてね』と伝えたり。そのおかげか、中学生になった今でも子ども同士では解決できないトラブルがあったときに、子どものほうから『こういうことがあったから学校に言ってもらってもいい?』と話してくれます」(Cさん)


「子どもの話に対して『こうしたほうがよかったんじゃない?』などの自分の意見を挟まないようにしています。『今日は誰が来ていたの?』などの確実な答えがあることを尋ねたあとに、『その子となにをしたの?』と聞き、話しやすい流れをつくります。楽しそうに話していたら、それを盛り上げるようなリアクションをするようにも意識していますね」(Dさん)

座談会参加のママの感想

参加してくれたママからは
「学校まかせにしないで自分で動いていくのが大事なんだなと思った」

「みんな悩んでいることがあると思うが、それぞれの環境に対応していたり専門的なことを学んだり努力している話が聞けてよかった」

という感想をいただきました。自分のことを思い行動しているママの姿を見て、お子さんもきっとなにかを感じ取っていると思います。

ことによっては、「しばらく見守る」という選択をするママもいることでしょう。お子さんのことをだれよりも考えているママが選んだことですから、それも決して間違いではないと思います。

悩みが長期化するケースもあると思いますが、「このままでいいのかな」と苦しくなってしまったときは、客観的なアドバイスをくれる方やママの考えを受け止めてくれる方に相談をするなどして、ママ自身に無理がないように焦らずに向きあっていってくださいね。

※この記事は、コクリコラボ「学校での困りごと」が解決できない! モヤモヤの3大原因は「担任・学校・相談先問題」ほかの記事作成のための座談会をもとに構成したものです。

取材・文/大沢ゆい・林まき子(AnyMaMa エニママ)

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コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。 ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。 (Any MaMaについてはこちら:anymama.jp Twitter: @AnyMaMaJP )​

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