ここ数年オンラインゲームをきっかけとした事件のニュースがあとを絶ちません。つい先日(2023年11月)も、オンラインゲームで知りあった男子中学生を家に呼び出して暴行した男が逮捕されるという事件があったばかりです。
このようにマイナスイメージが先行しがちなオンラインゲームですが、小学生になると意外とやっている子は多いもの。ママたちはどんなきっかけで解禁し、子どもにどのような使わせかたをしているのでしょうか。今回はオンラインゲームについて、利用している子どもとそのママ双方にアンケートを実施し、子どものオンラインゲームの実態を調査しました。
目次
コクリコラボアンケート「AnyMaMa(エニママ)」登録者およびコクリコメルマガ会員を対象に2023年10月5日~10月19日インターネット上で実施。有効回答数は117件。
子ども向けアンケートは上記対象者の子どもで「オンラインゲームをしたことがある」と回答した子を対象に同期間で実施。有効回答数は28件。
年齢内訳:未就学4名、小学校低学年5名、中学年7名、高学年6名、中学生以上6名。
男女比:男の子20名、女の子8名。
※基本的にアンケート回答の原文をそのまま記載しています。ただし文字数の都合上、一部抜粋や主旨を損なわない範囲の要約・編集を行っている箇所があります。(明らかな誤字等は修正のうえ記載)
コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。
ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。
オンラインゲームを解禁した年齢 第1子は小学校入学後が多い
コクリコラボでは現役の子育て中のママ(有効回答数113件)にオンラインゲームの実態についてアンケートを実施しました。
まずオンラインゲームを解禁しているかという質問には、約25%のママが「はい」と回答しています。
次にオンラインゲームを解禁した年齢についてたずねたのが、こちらのグラフです。1人目、2人目の子どもでは6~8歳での解禁がもっとも多く、小学校入学後のタイミングで解禁されることが多い印象を受けます。
一方で3人目の子どもは母数は少ないものの、半数以上が3歳未満という結果に。上の子のオンラインゲームを解禁した年齢まで、3人目の子どもだけを待たせるというのは困難であるという実態が見えました。
ところで、そもそもオンラインゲームを解禁したきっかけは何だったのでしょう。
・周りの友達の影響。
・友達と通信で遊ぶゲームが流行ったため。
お友達経由という声が多く聞かれました。
・親自身がオンラインゲームで子どもと遊ぶことができるため。
・夫が自分と同じゲームをやってほしかったので、子どもに勧めたようです。
ママやパパ経由という声もありました。
・娘ができそうなゲームがオンラインゲームだった。
・好きなゲームがオンラインゲームだったため。
たまたまやりたいゲームがオンラインゲームだったという入り口もあるようです。
・Switchを購入したことがキッカケです。
・長女はスマホを持ったから。次女はSwitchを買ったから。
Nintendo Switchがきっかけという声も多かったです。
※Nintendo Switchは2017年に任天堂から発売されたゲーム機。据置型としても携帯型としても使える。シリーズの累計販売台数は1億3000万台以上、ソフトウェアの累計販売本数は11億3000万本以上。(2023年9月末時点)
・次男が入院したのがきっかけです。入院した際に、長男とオンラインで遊ぶために用意しました。Switchで一緒に遊ぶことができて会話もできるのでその点ではよかったと思います。
オンラインゲームによって、自宅にいるお兄ちゃんと入院中の弟がつながれたというエピソードもありました。コロナ禍でお見舞いなどが制限されるなか、一緒に遊べて会話もできたというのはオンラインゲームならではですね。
オンラインゲームというと、利用時間が長くなるなどマイナス面にフォーカスされることが多い印象ですが、実際はどうなのでしょうか。こちらも1人目から3人目まで分けて聞いてみました。
1人目、2人目ともに、「1時間未満」「1~2時間」の合計で約75%を占めており、3人目にいたっては100%という結果でした。これは年齢的に小さいためまだ3時間以上オンラインゲームをやるような環境にはないのだと推察します。
1人目で1日の利用平均時間が5~6時間と回答した方が18.5%いたことには驚きましたが、多くの子どもたちが時間をコントロールしながらオンラインゲームを楽しんでいることがわかりました。
よかったこともある「オンラインゲーム」ママの意見 子どもの意見
今回のコクリコラボの調査では、ママだけでなくお子さんにも直接アンケートに回答してもらいました。ママと子どもそれぞれが感じている「オンラインゲームをやらせて(やって)よかったこと」をご紹介します。
なおオンラインゲームというと、世界中の誰でも制限なくつながれるというイメージがありますが、実際に子どもに使わせる場合には制限を設けることができます。そのため本アンケートにおける「友達」は、オンラインを通してつながった友人だけでなく、もともと学校や習い事などリアルな世界での友人とオンラインゲームをしている場合も「友達」と表現しています。
◆ママが思う「オンラインゲームをやらせてよかったこと」
まずはママの意見からご紹介します。
・世界に人はたくさんいるとわかったこと。
・強いて言えば常に遊び相手がみつかる点です。
・自宅にいながら交流できる。
ママが子ども時代の友達と言えば、せいぜい半径数km以内の世界のなかでした。それがオンラインゲームのある今では、その範囲を世界中に広げることができます。その点をよかったと評価している声です。
・雨の日やコロナの影響で自粛期間が続いたときにも子どもがお友達とお話したり一緒に遊ぶことができたことです。長男が1年生のころはよく自粛期間があったり、ちょっと熱を出してはきょうだい3人とも休まなくてはいけなかったりしました。そのときにクラスのお友達と「今日何があった」というような話ができていて、とてもいいなと思いました。
・離れているときでも友達と遊べる。
・引っ越ししたお友達と繫がっている。
こちらはリアルな友達とオンラインゲームでつながれる点がよかったという声です。たしかに雨の日やコロナ自粛期間中などで友達と直接会って遊べないときにオンラインゲームは有効な手段です。引っ越ししたお友達とつながれるというのも、オンラインゲームならではのメリットですね。
・ネットを使う危険性等を画面を見せながら伝えられるところ。説得力がある。
ネットの怖さは口で伝えても、子どもに理解させるのはなかなか難しいもの。オンラインゲームをやっていれば、具体的に危険を伝えられるので子どもでも理解しやすいかもしれません。
◆子どもが思う「オンラインゲームをやってよかったこと」
次にお子さん本人に「オンラインゲームをやってよかったことはなんですか?」と聞いてみました。
・友達とこれまでは遊びに行けないときは一緒にゲームができなかったけど、オンラインでならいつでもできるから、遊べて嬉しい。
・友達と家にいてもゲームができる。
もっとも多かったのはおたがい家にいても遊べるという点でした。少し大きい子は、コロナ禍で実際にオンラインでつながって遊べた良い思い出があるのかもしれません。
・オンライン上で新しく友達ができること。
・世界中の自分よりうまい人と戦えて、自分の実力をあげられたこと。
オンラインゲームの世界で新しいお友達を作ったり、世界中の人とつながったりする点がよかったと回答してくれました。
・おともだちのみんなとゲームができたのがよかったです。
・友達もやっていて友達とそのゲームの話題を話せること。
リアルでも会えるお友達とオンラインゲームをする場合、共通の話題で盛り上がったり、より仲良くなったりということがよかったと感じています。
身近な危険 「オンラインゲームでこわい経験をした」
ママ向けアンケートで「オンラインゲームでトラブルがあったことはありますか?」と聞いたところ、約3割のママが「はい」と回答しました。
具体的なトラブルとしては「ゲーム中の子ども同士のトラブル」「親の知らないところで課金していた」と回答したママが少数いた程度で、大きなトラブルを経験したママはほとんどいないようです。
ただし座談会ではこんな話も飛び出しました。
「小4の子どもが人気のバトルロイヤル系オンラインゲームをやっているときに、知らない人としゃべっていたことがありました。私も付きっきりで聞いていたわけではないのですが、『どこ小学校?』と聞かれたのに対して、子どもは素直に学校名を答えてしまっていました。それ以来『知らない人には、年齢とか場所とかを言ったらあかん!』と言い聞かせています」(小4男の子、小2・年少の女の子のママ)
実際のトラブルに発展するには至らないものの、危険を感じる場面はあるようです。
続いて、子ども向けアンケートで「オンラインゲームをやっていて、こわい経験をしたことはありますか?」と聞いた結果がこちらです。
・お兄ちゃんの友達に「ばか」って言われたこと。
・お友達に垢BANするぞと言われたこと。
※垢BANとはオンラインゲームのアカウントが利用停止・アクセス禁止処分になること。規約違反がなくても、通報を繰り返されてしまうことで、垢BANになることがあるそうです。
ゲームを通じてお友達とのトラブルが発生した事例です。「垢BANするぞ」という言葉で終わればいいですが、仲間外れや強要のようなことに発展する可能性が怖いですね。
・知らない人からフォローされたり、リア友の友達っぽい人からメッセージが来たこと。
・知らない人からフレンド通知がくることです。
オンラインゲームならではの機能が「知らない人」とつながれること。どう設定しておくかにもよりますが、突然「知らない人」からのアプローチがあった場合、子どもは「こわい」と感じるようです。
・ナイフ持ってる人がいたのがこわかった。
おそらくゲーム上のアイテムではなく、オンラインゲーム上の会話などで「ナイフを持っている」と言われたのでしょう。真偽のほどはともかく、こわい経験をしたと感じているのは事実です。
・やりすぎた。
・1プレイにいがいとじかんがかかってしまったり、いいところでやめられなくなること。終了寸前に友人が参加してきてなかなか終了できないことがあった。
・待ち合わせの時間が遅すぎたときに困った。
時間関連で「こわい」と感じたという事例です。最後の回答の「待ち合わせの時間」とは、おそらくオンラインゲームを開始する時間を約束したが、その時間が夜遅い時間だったということでしょう。
あるママは「子どものオンラインゲームの待ち合わせの時間に間に合うように、きょうだい全員の夕食時間を調整しなければならないのが大変」と経験を話してくれました。
家庭内ルール 守れていると思っているのはママだけ?
「オンラインゲームとうまく付き合うために、子どもとの約束ごとやルールなどはありますか?」という質問では、いろいろな家庭内ルールを聞くことができました。
・基本的に課金とかお金のところは触らない!
・お友達に何かゲームのアイテムとかを買ったり買ってもらったりしてはいけない。
ゲーム上でのアイテムのやりとり。お金を使っている実感がないだけに、トラブルに発展する危機感がない点も怖いところです。
・広告ででてきた内容は全部詐欺で、登録等すると騙されて大変なことになると脅しています。
個別に判断できないうちは、一律で禁止するのも手。
・リビングでしかオンラインゲームをやらない。
親の目の届くところでやらせるというルールも多かったです。
・知らない人と音声通話をしながらはやらない。
・友達承認していいのはリア友だけ。
オンラインゲームだと素性のわからない人とつながるリスクもあります。実際に交流のある、学校やならいごとの友達だけにつながっていい範囲を限定しているご家庭も多いようです。
・血が出るゲームはやめてほしい。
最近のゲームはリアルさが追求されており、ともすれば子どもの心に悪い影響を与えるものも。各家庭での線引きがあるようです。
このように各家庭で約束ごとがあるようです。「前問での約束ごとでうまくいっていますか」とママに聞いたところ、約6割のママがうまくいっていると回答しています。
一方、子ども向けのアンケートで「親と約束したことは守れていますか」と聞いたところ、「カンペキ!」と回答した子は約2割。「ぜんぜん守れてない」と回答した子も約1割いるという結果でした。
知らぬは親ばかり? 親にナイショでやってしまったこと
子ども向けアンケートでは、「親にナイショでやってしまったことは何かありますか? こっそり教えてください」という設問がありました。犯罪のにおいのする経験があったらどうしよう……と怖さ半分で実施したのですが、結果はほほえましいものが多く少し安心しました。
・約束の時間を過ぎていたけど、ママがお昼寝してるときに内緒でゲームしちゃった。
・1時間って言われてたけど、ママが寝てたからやった。
ママはおちおち寝てもいられません……。
・ゲーム禁止されてるときに隠されているゲーム機を探しまくって見つけてやったこと。
・課金しちゃダメって言われてたけど、ばぁばに買ってもらったプリペイドカードで課金した。
これはちょっと怖いかもしれません。プリペイドなので上限は決まっていますが、お金のトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
・バトルロイヤル系オンラインゲームをしているときに急にあおられたのであおり返してしまったときがありました。
こちらもトラブルにならなかったのならよかったのですが……親にナイショの状況だけに危険が伴います。
オンラインゲームのルール 話しやすい親子の関係性が重要なのでは
ママたちを集めた座談会では、実際に子どもがオンラインゲームをしているというママに話を聞くことができました。オンラインゲーム内での友人トラブルを聞いたことがあったこちらのママは最初はやらせることに消極的だったそうですが、子どもが友達に誘われたことをきっかけに解禁したとのこと。そのときに作ったルールがこちら。
「ひとつだけルールを作りました。『もしオンラインゲームのグループで、嫌な気持ちがおきたら言ってね』ということです。逆に自分の子どもがお友達に嫌な思いをさせても困るので、私の目が届くように同じ室内でやらせています」
たくさんのルールを作っても、すべてのトラブルに対応できるとは限りません。でも「嫌な気持ちがおきたら言ってね」というママの言葉は、実はどんなルールよりもトラブルを小さな芽のうちに摘む可能性を秘めていると思います。
筆者の家庭では、まだオンラインゲームを解禁していませんが、少しでも何かあったらすぐに親に言おうと思えるような親子関係を築くことが大切なのだと強く感じました。
コクリコラボ
コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。 ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。 (Any MaMaについてはこちら:anymama.jp Twitter: @AnyMaMaJP )
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