不登校になったら進路はどうなる? 学校には行かない子どもに起きた変化

約11人に1人は通信制高校に

フリースクールや通信制高校、ホームスクーリング(オンライン学習)などの選択肢が増えたことは、不登校の子どもたちにとってどのような意味を持つのでしょうか。

自身もフリースクールで学んだ経験をもつ、不登校ジャーナリストの石井しこう氏に聞きました。

(以下より、石井しこう氏のコメント)

文部科学省によれば、令和6年度の通信制高校生徒数は29万87人。高校生のおよそ11人に1人は通信制高校に通っている計算で、「学びのカスタマイズ」が一般的になりつつあります。

一方、小学校・中学校ではまだまだ選択肢が少ないのが現状です。

我が子が不登校になった場合、対応の大原則は「子どもが笑顔でいられること」。

そもそも不登校とは、「学校で起きた出来事によって子どもが傷ついている状態」です。病気の子どもに運動させる親はいないはず。不登校も同じです。

まず、「どこを選ぶか」の前にしっかり休ませましょう。

休み続けているうちに子どもが不安になってきたら、「病気のときは休むのが当たり前。大丈夫だよ」と伝えてほしいと思います。

子どもの心は必ず成長している

不登校児の中には、フリースクールより「普通の学校」で学びたいと、あえて苦痛な選択をする子もいます。

しかし、前向きに学びを続けるためには、本人の自己選択が大事。見ている親も辛いでしょうが、耐えて子どもに寄り添い、選択を見守ってください。

ただし、腹痛や頭痛、朝起きられないなどの身体症状が表れたら、遠慮なくストップを。

いざフリースクールに通い始めても、嫌な思い出がよみがえって、行けなくなることも珍しくありません。

傷が回復したかどうかは、本人も親も見えづらいもの。複数の居場所を経験した末にベストな場を見つけられた、というのも「よくあるケース」です。

一見、前進していないように感じられるときでも、子どもの心は必ず成長しています。不登校の子どもにとって、親が自分の選択を尊重してくれたことは、かけがえのない経験なのです。(談)

【「不登校の子どもの居場所」をテーマに、さまざまなケースを取材する連載(前後編)。前編となる今回はフリースクールの運営者、通信制高校生に取材、不登校ジャーナリストの石井しこうさんにお話を伺いました。次回の後編では、引き続き石井さんにお話を伺い、不登校から「やる気」のスイッチが入った実例や、「不登校になった子どもへの向き合い方」をお聞きします】

(取材・文/中村 藍)

子育てサイト「コクリコ」の「不登校」に関する記事一覧はこちら

子どもの居場所「学校につかれたキミに、心をほぐす温泉あります」 人気の児童小説「保健室経由 かねやま本館」特設サイトはこちら

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いしいしこう

石井 しこう

Shikou Ishii
不登校ジャーナリスト

1982年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。 19歳からはNPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材を行なうほか、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。 現在はNPOを退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。【Yahoo!ニュース 個人】月間MVAを二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社) 【公式サイト】https://futokoshiko.com

1982年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。 19歳からはNPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材を行なうほか、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。 現在はNPOを退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。【Yahoo!ニュース 個人】月間MVAを二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社) 【公式サイト】https://futokoshiko.com

なかむら あい

中村 藍

Ai Nakamura

1978年宮城県出身。小学校(通常の学級/特別支援学級)・特別支援学校(小学部・高等部)の教員として20年以上にわたり教育経験を積む。退職後、教育関連のWebメディアや雑誌への寄稿・監修、書籍執筆を行う。発達支援や教育DX、不登校、受験などの分野において、教育現場や官公庁、当事者への取材多数。 【URL】 ポートフォリオサイト https://ainakamura.edire.co/ ブログ「てとて~みんなの発達支援相談室」 https://tetote-tama.com 著書『発達障害&グレーゾーンの子 小学校生活の困りごと解決Book 学校の先生が教える!発達が気になる子のための困りごとヒント1』 https://amzn.to/3GVGKii

1978年宮城県出身。小学校(通常の学級/特別支援学級)・特別支援学校(小学部・高等部)の教員として20年以上にわたり教育経験を積む。退職後、教育関連のWebメディアや雑誌への寄稿・監修、書籍執筆を行う。発達支援や教育DX、不登校、受験などの分野において、教育現場や官公庁、当事者への取材多数。 【URL】 ポートフォリオサイト https://ainakamura.edire.co/ ブログ「てとて~みんなの発達支援相談室」 https://tetote-tama.com 著書『発達障害&グレーゾーンの子 小学校生活の困りごと解決Book 学校の先生が教える!発達が気になる子のための困りごとヒント1』 https://amzn.to/3GVGKii