
4歳からのあいさつ習慣は「きっかけ」「しくみ」「報酬」で育てる! 社会性・勇気・信頼を育むお家教育
《第5回》社会で生きる最初のスキル、「あいさつ」を習慣にしよう/幼児期に「生きる強さ」を身につける7つのこと(全7回) (2/2) 1ページ目に戻る
2026.04.15
文章力養成コーチ・教育コンサルタント:松嶋 有香
松嶋:あいさつが育てる力の1つ目は「社会性」。人とつながる喜びを知り、コミュニケーションの基礎を身につけます。相手の存在を認め、関係を築く力が育ちます。
2つ目は「勇気」。知らない人にも声をかける勇気が生まれます。自分から行動を起こす積極性と、新しい環境に飛び込む力が育ちます。
3つ目は「信頼」。誠実なあいさつは信頼を生みます。周りからあいさつを返されて、社会の一員として認められる経験が、自己肯定感を高めます。
どんなにやんちゃでも、あいさつができる子はかわいがられるので、社会でも生きていけます。だからこそ、あいさつができることは、勉強ができることよりも大切だと考えています。
親御さんは「うちの子はあいさつができなくて……」と、スキルの欠如のように判断してしまいがちですが、大切なのは「あいさつができる・できない」ということよりも、あいさつを通じて人とつながり、社会性や勇気・信頼関係を育むことだということをまず理解していただきたいと思います。
「あいさつは?」と言う前に、親が率先してお手本になろう
──「あいさつしなさい!」と言えば言うほど、子どもは黙り込んでしまいます。どうすれば自分からできるようになりますか?
松嶋:そもそも「あいさつは?」という声かけでは、習慣は身につきません。あいさつは強制されるものではなく、人とつながる「喜び」から生まれるものだからです。
一番効果的なのは、親自身が最高のお手本になることです。近所の人、お店の店員さん、そして家族に対して、親が明るく「こんにちは」「ありがとう」と言っている姿を子どもに見せる。子どもは親の背中を驚くほどよく見ています。親が率先して楽しそうにあいさつをしていれば、子どもも「あいさつをすると気持ちがいいんだな」と自然に理解していきます。
あいさつ習慣づくりは3段階で
松嶋:どんな習慣も同じですが、あいさつも「きっかけ」「しくみ」「報酬」で定着します。
まず「朝起きたら」「家を出るとき」「登園時に園の先生やお友だちに会ったとき」などの明確な「きっかけ」を決める。次に、子どもができない日があっても怒らずにスルーし、できた時だけ「あいさつしたら気持ちがいいね」と認める「しくみ」を作る。
そして最大の「報酬」は、相手から笑顔で返されることや、周りの大人から「元気なあいさつだね」と褒められる経験です。この成功体験の積み重ねが、「またやろう」を生みます。
報酬に関して、ひとつだけ注意点があります。報酬として、ママに「ちゃんとできたね」と褒められるのはうれしいものですが、これを続けると「褒められるためにあいさつをする」という循環に陥りがちなので、おすすめしません。
褒めたいときは「あいさつされて相手はすごく嬉しそうだったよね」「あいさつをしたから、その後の会話がうまくいったよね」等、気付きを促すのがいいと思います。
あいさつのハードルを上げないのもコツ
「うちの子はなかなかあいさつができなくて…」という親御さんの話を聞いてみると、実はハードルが高すぎることがあります。
例えば、「はっきり大きな声で」「目を見て」「先に自分から」と理想が高く、子どもが「ちゃんとやらなきゃ」と固まっていることがあります。最初は、ハードルを上げないでください。小声でもいい。会釈だけでも、手を振るだけでもOK。まずは「できた」という経験を残す。そのあとで、少しずつ言葉が出てくるようになります。
そして、できなかったことを問題にしないのもコツです。「なんであいさつしなかったの!」など、蒸し返さない。怒らない。「なになにちゃんはちゃんとあいさつができて偉いね」など、他人と比べない。
できる日が増えるまで、親は待ちましょう。
私自身の体験ですが、ドイツに住んでいた頃に、現地の人に「グーテンターク(こんにちは)」とあいさつできるようになるまで半年もかかりました。あいさつの言葉は知っていても、その後になにか言われたときに、私の語学力で話を続けられる自信がなかったからです。
子どもも同じように、「あら、あいさつできてえらいわね」「今日はどこへ行くの?」などと話しかけられるのが怖かったり、あいさつした後に何を話したらよいのかわからなかったりという不安が、声をつまらせている原因かもしれません。
どうか、焦らずじっくり見守っていきましょう。
次回は、入学前に身につけておきたい最低限の「読み・書き」の考え方についてお届けします!
全7回の5回目
1回目「家庭を安全基地にしよう」を読む
2回目「過干渉をやめて子どもの自立を促そう」を読む
3回目「外遊びで生きる力と免疫力を育てよう」を読む
4回目「環境を整えると子どもは本を読み出す」を読む
6回目「子どもが困らないための最低限の教育とは?」を読む※4月16日よりリンク有効
7回目「子どもの心を守る安全基地の作り方」を読む※4月17日よりリンク有効

































松嶋 有香
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」