意外と身近な「行き渋り」問題|親や本人へのアドバイスを専門家に聞いた

「行き渋り」の経験談やプロのアドバイスまとめ

写真:アフロ

行き渋りとは?

「行き渋り」とは子どもが保育園や学校に行くのを嫌がったり、行かない素振りを見せる状態を指しています。

完全に学校に通えなくなる(通わなくなる)「不登校」までいかなくても、「学校へ行きたくない」と言い出したり、朝になると体調不良になる、起きられないといった状態が続いたら、それは行き渋りのサインかもしれません。

行き渋りの子どもにどう接するかは、多くの親にとって悩みの種です。このまま不登校に発展するかも……と心配するあまり、行き渋りの「理由」にまで意識が向かず、学校に行かせようとして親子ともども負担がたまっているケースもあります。

無理に行かせようとすることは厳禁です。子どもの性格や状況にあわせて考えてあげましょう。

この記事ではこれまでのコクリコの取材の中から、子どもの行き渋りを経験しているママの声や不登校問題のプロのアドバイスを紹介していきます。

子どもの「行きしぶり」を8割のママが体験!上手な対応はあるの?

コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが実施したアンケートによると、3〜5歳児の子どもを持つママのうち、子どもの行き渋り(登園拒否)を経験したことがある人は、全体の8割に上りました。理由で最も多かったのは「その日の機嫌や気分」で、その次に多かったのが「理由はわからない」というもの。

多くのママたちが、理由もわからないまま子どもの行き渋りに悩んでいる様子がわかります。

「学校に行きたくない!」子どもがつぶやいたとき、知っておきたいこと 」

教育研究家の山崎聡一郎氏は、子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときに「『なぜ』をまず知ることが大人の仕事」と語ります。行き渋りの理由がなんであっても、子どもが安心して学校に通える環境を整える義務と責任は「当然に大人が負っている」からです。

一方、学校では子どもたちに「どんな相手ともフラットな人間関係を築くマインド」を教えてほしいと山崎氏は話します。

令和の「不登校問題」現役教師が明かす学校側のリアルな声!

文部科学省の発表によると、2021年度の不登校の児童・生徒は全国で24万4940人でした。フリーランスティーチャーの田中光夫先生は不登校が増えた理由のひとつとして「親が無理して子どもを登校させなくなった」ことを挙げます。

また、学校の先生たちが「すごく忙しい」ため、子どもたちを十分にサポートできないことも課題だと田中先生は言います。保護者と先生がもっとコミュニケーションを取り、一緒になって子どもをサポートすることが問題に対処するカギとなります。

不登校のキミへ… 「不登校専門紙」が「精神的親殺し」を勧めるワケ

不登校専門誌「不登校新聞」の代表理事・石井しこう氏は、自身も不登校の経験者です。中学2年生のときに学校に通えなくなり「苦しかった」と振り返ります。

同じ悩みを抱えている子どもに対して「大きな原因が親であることは少なくない」と語り「精神的に親を切り離してしまおう」とアドバイスする石井氏。「それは大人になるために、誰もが通る道」なのだと言います。

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石井氏が不登校になったのは「中学受験の失敗」が原因でした。挫折感を引きずったまま入った中学校でいじめを経験し、教師との関係も悪くなった結果「限界値を超えて」不登校になったそうです。

受験の失敗を引きずった背景には、「勉強ができること、いい学歴を手に入れることこそが人間の価値である」という考えを中学受験で教え込まれたことが一因だと、「不登校新聞」の代表理事・石井氏は言います。フリースクールと親の支え、そして『不登校新聞』のボランティアスタッフとして働いたことが立ち直るきっかけになったそうです。

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不登校新聞の代表理事・石井氏によると、現代では「あらゆるタイプの子」が行き渋りや不登校になるそうです。その理由は「怠け」ではなく、さまざまな原因で「心がオーバーヒート」したから。行き渋りや登校拒否は、命がけのSOSだといいます。

文部科学省は2016年に、学校に向けて「不登校は問題行動ではない」という通知を出しました。親や先生たちも意識を切り替えていく必要があります。

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子どもが行き渋りから不登校へと発展した場合、「親がやるべきもっとも大切なこと」は学校に行くよう強要することではなく、子どもの苦しみに寄り添うことです。

かといって、「腫れ物のように扱う必要はないし、厳しく監視する必要もない」と不登校新聞の石井さんはアドバイスしています。普通に接し、何気ない雑談を交わすことで親子の結びつきが深まり、「『あなたはここにいていいんだよ』という安心感を与える」と語ります。

「行き渋り」問題 まとめ

行き渋りも、その後の不登校も、子どもの怠慢が原因ではありません。親は子どもを責めたり学校へ行くよう強制したりするのではなく、意識を切り替えて子どもを受け入れるとともに、行き渋りや不登校の「なぜ」を知る必要があります。

もちろん、行き渋りをめぐる事情はさまざまで、絶対の「正解」はありません。コクリコの記事で紹介している経験談や専門家のアドバイスを参考にしつつ、家庭ごとの最適解を模索していきましょう。