子育てビギナーに絵本が役立つ!【厳選12作のリストつき】

子どもが苦手な人にこそ、読み聞かせをおすすめする理由

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

Q 文字のない絵本、どう読めばいい?

小さい子ども向けの絵本は、文字がないものもありますね。

まずは、おとなが、その絵本を見たまま、感じたままを自由に話しかけてみるのはどうでしょう。「読む」というより、その絵本を題材におしゃべりを楽しむという感じです。

犬が描かれているなら「ワンワンがいるね」「おなかがすいてるのかな」「どこにいくんだろうね」など、思いつくままでいいと思います。

子どもはただじーっと見ていたいという場合もありますから、あえて話しかけないという選択もあります。絵本を見るお子さんを見て、心の動きをキャッチすることができたら、それもまた素敵ですね。


Q 絵本をかじったり投げたりします
 
気になるものは、なめたりかじったりして確かめたい。これは動物的本能なので無理もないですね。

まずは、破れない布絵本や、<ボードブック>といわれる、厚みがあり、角が丸くなっていて、紙でケガをすることも少ない安心なデザインの本など、少しくらい乱暴に扱っても大丈夫な本からスタートしましょう。

ページをめくることで楽しいことが起こるとわかれば、中身に興味も出てくるはず。乱暴に扱うようときは、破いたり、投げたりするものではない、ということを根気よく教えていきましょう。


Q 子どもが絵本に興味を示しません

お子さんが別のことに興味を示しているときは、そちらをしっかり楽しませてあげてください。無理に読み聞かせに誘わないようにしましょう。

ただ、1,2度そうだったからといって、「うちの子は絵本があまり好きでない」と決めてしまわずに、いつも身近に絵本があるようにしてあげてください。大人が絵本を楽しそうに読む姿を見せるのもいいかもしれませんね。

あまり興味がなかったのに、ある特定の1冊にはまってからは大の本好きなった、というのもよく聞く話です。


Q いつも同じ本ばかり読まされます

子どもたちは、自分が知っていることに出合うとうれしく、安心します。そういったものを繰り返し見て、確認することで知識を蓄えたり、感性を育んだりしています。同じ本のなかでも、すみずみまで目を通して昨日とは違う発見をし、さらにわくわくしているのかもしれません。満足するまで付き合ってあげましょう。

読んでいるほうも覚えてしまうでしょうから、なにかの折に口をついて出て、「あの本だね」と、いっしょに笑えることがあるかもしれませんね。


Q 勝手にページをめくって先に進んでしまいます

その子なりに「絵本」を楽しんでいるはずなので、好きなようにさせてあげましょう。お話をすべて暗記してしまっていれば、単純にその確認行為の場合もあります。

絵本は目や耳から入ってくる情報以外に、紙の匂い、手ざわり、めくる楽しさでも感覚が育ちます。ページをめくるというその行為自体が楽しくて仕方がないのかもしれませんね。まだまだ稚拙な子どもの指には、「ページをめくる」というのは、とてもむずかしいことなんだそうですよ。


Q 年齢よりも幼い子ども向けの本を好みます

絵本には対象年齢が表示されている場合もありますが、あくまで目安です。

「もう大きいのだから、お兄ちゃん向けの絵本を読んだら?」などと声をかけてしまいがちですが、ぜひ、好きなものを好きなだけ読ませてあげてください。好みがあるということがすばらしいです。

子どもは成長するにしたがって、自分の通ってきた世界を確認したり、試そうとしたりします。絵本のなかにもそういう場面があれば、知っている世界を見ることで安心感を得、一歩成長した自分を誇らしく思うこともあります。お子さんの中でどのような感情が動いているのか、もっと知る機会にできたらいいですね。

子どもたちに「本が楽しかった」体験を!

本が好きになるというのは一生の宝物です。

本のなかに心の友だちができる。
いろいろな世界をのぞくことができる。
人のことが好きになる。


子どもたちに与えたいものばかりです。

中高生になって部活や勉強で忙しくなって読書から遠ざかっても、本を読んで楽しかった、という記憶があれば、いつか戻ってくることができると思います。

実は、いちばんよくいただく質問が、「いそがしくて、なかなか絵本を読んであげられません」というもの。

1〜2歳くらいの小さい子ども向け絵本を1冊読むのに必要な時間は3分くらい。もう少し大きな子ども向けなら5~7分くらいです。
家事に仕事に育児、目の回るような忙しい一日の最後に、10分でもゆっくり絵本を読む時間が作れたら素敵ですね。あまりに疲れているときは、読みながらこちらが先にダウンしちゃうこともあるかもしれません。それはそれで、微笑ましい光景です。

毎日寝る前に、楽しみにしていた絵本を読んでもらう。子どもはお話を楽しみながら、それを読んでくれる大人の愛を感じとって満足して眠りにつけるでしょう。大人も、忙しい一日の最後に子どもが満足して寝てくれたのを感じて、みたされるのではないでしょうか。

絵本を読んでもらった、絵本を読んであげた、という幸せの記憶は、忘れられない思い出として生涯残ります。どうぞお子さんにも、そして、あなたにも、温かな思い出を残してあげてほしいな、と思います。
『おじさんのかさ』(文・絵:佐野洋子)

   佐々木貴美子隊長から
  「わたしの大好きな1冊」


おじさんは立派な傘を持っているのですが、雨が降ってもその傘をささないのです。

なぜなら「かさが ぬれるからです」。

ある日おじさんは、「あめがふったら ポンポロロン あめがふったら ピッチャンチャン」と、傘をさして大きな声で歌いながら帰っていく男の子と女の子に出会い、「ほんとかなあ」と思いました。そしてとうとう傘を開いてしまうのです。

「『ほんとだ ほんとだ、 あめがふったら ポンポロロンだあ』おじさんはすっかりうれしくなってしまいました」。

偏屈だったおじさんが素直に何かを知ろうとして、心が解放されて、喜びに満たされます。楽しそうな人々に交じって傘をさしているおじさんは、表情がとても穏やかです。

ほんの小さなきっかけで、人はこんなにも豊かに素敵に変わることができるのですね。

おじさんは私に「傘を開く=心を開くこと」の大切さを教えてくれました。
難しいことに取り組もうとする時に、おじさんから一歩踏み出す勇気をもらっています。

主人公といっしょに私たちの心を成長させてくれる、幼児から大人まで幅広い年齢で楽しんでいただけるおはなしです。
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本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai