「春の新生活」で子どもに心身のストレス 小児科医が3つの注意点を解説

春にかかりやすい子どもの病気#4「子どもの春の過ごし方」

小児科医:渋谷 紀子

環境変化の多い春だからこそ気をつけたいこととは?  写真:アフロ

入園や入学、進級など、春は環境の変化があるからこそ、忙しい時期です。それは大人だけでなく、子どもも一緒といえるでしょう。新型コロナウイルス感染症の予防はもちろんですが、それ以外にも親としては子どもが元気に楽しく毎日を過ごすことができるように支えてあげたいものです。

最終回である第4回目は、子どもが心身ともに健やかでいるための「春の過ごし方」について、愛育クリニック小児科・母子保健科部長の渋谷紀子先生にアドバイスを伺いました。

親子時間で子どもの話を聞く

春を迎えた子どもが心身ともにストレスなく過ごすためのコツには、どういったものがあるのでしょうか。

「入園・入学はもちろん、進級も子どもにとって大きな変化です。いつもより甘えてきたり、何か話したそうにしているなどの子どもからのサインを見逃さないでほしいですね。

新しいクラス、新しい先生に馴染むまでは時間がかかりますし、クラスの中でのお付き合いがなかなかうまくいかない子もいます。

順調に馴染んでいるように見える子であっても、子どもは少なからず緊張しているので、おうちに帰ってきたら親子時間で緊張をほぐしてあげてください」(渋谷先生)

大人が考えているよりも子どもは疲れているかもしれません。 写真:アフロ

「具体的な親子時間の過ごし方とは、子どもの話を聞いてあげることです。小さな子どもはまだ上手に話をまとめて伝えることができないことが多いので、急かさず、じっくり聞いてあげましょう。

先回りするのではなく、子どもの言葉を繰り返すなどして『聞いてるよ』という意思表示をすることも大切です。もしそこで子どもが話せずに抱きついてきたら、ギュッと抱き返してスキンシップをしてあげてください。

スキンシップに年齢は関係ありません。子どもの気持ちに応えるように、温もりで安心感を与えてあげましょう。また、心理的な面だけでなく、親子でのんびりくつろいで体を休ませるのことも大切です」(渋谷先生)

子どもと会話することで園や学校での喜びや不安を共有するだけでなく、言葉を交わさないスキンシップも、子どもの緊張をほぐす重要な結びつきです。親子時間で、生活のベースとなる子どもの心身の安定を育みましょう。

規則正しい生活が病気をブロック

「よくいわれていることですが、早寝早起きは基本です。日中の活動で心身ともに疲れているからこそ、早く寝て、たっぷり睡眠をとって、次の日に備える生活を心がけましょう。

不規則な生活や睡眠不足は免疫の低下を招く恐れがあります。免疫が低下すると病気にかかるリスクも高まるでしょう」(渋谷先生)

規則正しい生活が◎。不規則な生活や睡眠不足は免疫低下を招いて、病気にかかるリスクが高まる可能性が。  写真:アフロ

寒さの残る春はまだまだウイルスの好環境下であり、新しい集団生活と相まって、特に感染症には注意をしたい時期です。不規則な生活や睡眠不足など、免疫低下を招く時間の使い方は避けることが大切です。

「小学校へ入学した場合は、かなり生活が変わります。親も子どももなにかとバタバタして、毎日に追われますが、だからこそ早寝早起きを心がけて、心も体もゆとりのある生活を基本にしてほしいです」(渋谷先生)

春は特に子どもの様子を観察することが大切と話す渋谷先生。規則正しい生活を心がけることは、そうした時間を確保することにもつながります。新生活のスタートに合わせ、新しい生活習慣づくりに親子でチャレンジしてみましょう。

食事も大切な子どもの要素

渋谷先生は、食事をしっかり摂ることも子どもの生活には重要と指摘します。特に現代は、食事の中でも朝ごはんを食べない、あるいは食べられない子どもの割合が増えていることもあるそうです。

「食事は3食しっかり摂って、栄養補給をしてほしいですね。できるなら、同じ時間に摂るのがいいでしょう。食事の時間が決まっていれば、起きる時間や寝る時間など、そのほかの生活も自然と整ってきます。

これは規則正しい生活につながっていって、ゆとりある暮らしと強い体づくりに役立ちます。

朝ごはんを食べる余裕がない子は、トイレにゆっくり行く時間も取れないようです。特に小学校では、学校でうんちをすることを恥ずかしいと思っている子が多いので、そのタイミングが得られず不調になる子もいるようです。

学校での排便を肯定する教育や声かけは必要ですが、朝にちゃんとトイレでできるように、生活を整える必要があるでしょう」(渋谷先生)

春という時期は、子どもにとっては心身ともに大きな影響がある季節。入園・入学、進級で子どもは以前より成長したとはいえ、生活を整え、強い体をつくるにはまだまだサポートは必要です。

親は子どもが毎日を楽しく、笑顔で過ごせるように支えていきたいものですね。

取材・文/梶原知恵

しぶや のりこ

渋谷 紀子

小児科医

愛育クリニック院長兼小児科・母子保健科部長。日本小児科学会専門医・認定指導医。日本アレルギー学会専門医。東大病院小児科、愛育病院小児科などでの勤務後に、カナダのトロントにて研究留学。帰国後、東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。 【主な監修書】 『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研プラス) 『はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア(実用No.1シリーズ)』(主婦の友社)など

愛育クリニック院長兼小児科・母子保健科部長。日本小児科学会専門医・認定指導医。日本アレルギー学会専門医。東大病院小児科、愛育病院小児科などでの勤務後に、カナダのトロントにて研究留学。帰国後、東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。 【主な監修書】 『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研プラス) 『はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア(実用No.1シリーズ)』(主婦の友社)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。