脳科学者・細田千尋先生が「3人の子育て」で必ずやっていることとは?

日常生活でも「継続する習慣」が、子どもの”やり抜く力”につながる〔細田千尋先生インタビュー 第5回〕

医学博士・認知科学者・脳科学者:細田 千尋

前頭葉の発達から脳科学的にならいごとを始める時期、苦手なならいごとは継続しないなど、今まで4回にわたって脳科学的に幼児期のならいごとについて脳科学者の細田千尋先生に解説してもらいました。最終回となる第5回は、3人の子育て中という細田先生に、ご自身の子育てについて伺いました。

医学博士・認知科学者・脳科学者の細田千尋先生。ご自身も3人の子どもの母として、毎日大忙し。  撮影:森﨑一寿美

幼児期は継続して学ぶ習慣をつけることを心がけよう

第1回で幼児期のならいごとは前頭葉が発達し続ける10代まで継続させることが大切とお話ししました。ただ、なかにはひとつのことを長く続けられないという我が子に頭を悩ませているお父さん、お母さんがいらっしゃると思います。そこで継続するコツをお伝えします。

まず大切なのは“習慣付け”です。ランニングでも、最初は辛いけれど、走っているうちに楽しくなってきます。これは“オートマイゼーション”と言って、脳がその活動に慣れると小さな負荷で自動的にできるようになる、というわけです。だから子どもが辛いとき、親が一緒に乗り越えることで、継続する習慣を付けてあげるのをおすすめします。

私は現在、物事をやり抜く力があると脳の前頭葉に特徴が表れるという研究をしているのですが、脳の前頭葉の中でも一番先端にある『前頭極』という部分に注目しています。ここは将来を見越して、今何をすべきかを計画を立てて遂行する場所で、10代にかけても発達し続ける場所です。

実はIQが120以上と言われるスーパーIQの人たちの前頭葉は乳幼児期にはまだ小さく、IQが平均的な人のほうが少し大きかったりするんです。何がその後の違いを生み出すかというと、前頭葉の発達のピークである12~13歳のときに、どれだけダイナミックに脳を発達させるか、です。この時期の成長度合いが関わってくるんですね。ですから、例えば幼児期にどれだけお稽古やならいごとを詰め込んで脳を発達させていても、
それを12~13歳まで続けていなければあまり意味がないんですよ。

だから未就学の段階でできることは、継続して学ぶ習慣をつけることを心がけることです。ならいごとを継続するのもいいですし、絵本を自分で読む、日常生活の中で基本的なことを継続してきちんとやれる。こうしたことも、とても大切だと思います。

資料提供:細田千尋
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