おはしの練習はいつから? どんなふうに教える? 発達の専門家が回答 

こんなときどうする? 子育てQ&A#85 おはしはいつごろから使わせたらいいの?

教育学博士:渡辺 弥生

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おはしが使えるようになるためには、手先の運動能力や、目で見ているものを手でうまく操作する協応能力の発達が必要です。

4~5歳になると、おはしで食べられるようになる子もいますが、正しい持ち方をしているかというと、そうでもありません。

発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「おはしはいつごろから使わせたらいいの?」(3歳・男の子)

おはしはいつごろから使わせたらいいの?  写真/Adobe Stock

長い目でゆったりと教えていきましょう

小学生になっても、はし先が交差するような持ち方をしている子もよく見かけます。

ママやパパのなかにも「今でも苦手」「大きくなってから、自分で持ち方を練習した」という人もいるでしょう。

最近は、日本でもスプーンやフォークで食事をすることが増えていて、おはしが苦手でもそれほど困らないという現実もあります。

「○○歳だから、おはしを使わせなくては!」と生真面目に考えるより、むしろ、ゆったりと美しい日本の文化を伝えていく気持ちが大切なように思います。
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具体的には、どう教えていったらいい?

スプーンに慣れて、だいぶ上手に食べられるようになったら、そろそろおはしを用意してあげるとよいでしょう。

一緒に買いにいって、好きなおはしを選ばせてあげると、興味もわくはずです。

1~3歳のステップとしては、

◆スプーンやフォークと一緒に、おはしも食卓に置いて、自由に選んで使えるようにしてあげます。

◆しばらくは持ち方を教えてもすぐに持ちかえて、握ってすくおうとしたり、刺して食べようとするでしょうが、細かく注意することはありません。


◆「ママは、できるよ~」と、正しい持ち方を見せながら、おはしを持つ指の形に整えてあげましょう。

ただ、発達からいっても、おはしを正しく使うのはまだ難しいもの。それができるようになるためには、たくさん遊びこむことが欠かせません。

よく「子どもは遊びのなかで学ぶ」といわれますが、生活に必要な動作だって遊びの経験のなかで身につけていくのです。

成長のためには「まず遊びありき!」です。

とくに幼児期は、手先を使ったり全身を使ったりするいろいろな遊びをたくさんさせましょう。

習い事は、なにかに特化した能力をアップさせますが、遊びは生きていくうえで必要な能力を総合的に獲得させてくれます。

そして、さまざまな経験をしていくなかで、結果的にスプーンやフォークよりも、おはしを使うほうが食べやすいと気づくこともあるでしょう。

また、それだけではなく、おはしのおき方といったルールも発見するかもしれません。

今は、あまり厳しくしない程度にチャレンジさせてあげるといいですね。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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