あきっぽくて根気がない子にはどう対処すべき? 発達の専門家が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#79 あきっぽくて遊びが長続きしない子。これで大丈夫?

教育学博士:渡辺 弥生

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1~3歳では「新しいおもちゃを買っても、喜ぶのは最初だけで、それでじっくり遊んでくれないんです」と嘆くママパパは少なくありません。

「せっかく買ってあげたのになぜ?」という戸惑いや、「こんなにあきっぽくて大丈夫なのかな?」という不安があるのですね。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「あきっぽくて遊びが長続きしない子。これで大丈夫?」(3歳・女の子)

あきっぽくて遊びが長続きしない子。これで大丈夫?  写真/Adobe Stock

興味のままに遊ぶのが1~3歳の健全な発達

1~3歳の子どもを見ていると、ほとんどの子は、すぐ別のものに気を移して、次から次へと遊びをかえています。

まるで穴だらけのモザイク模様のように遊びがまとまらず、落ち着きがないようにも見えます。

でも心配いりません。

あっちに手を出し、こっちに手を出し、興味のおもむくままにいろいろなものに関わっていくのが、1~3歳の子どもの健全な発達の姿だからです。

それに、子どもは「あきっぽい」から、手当たりしだいに遊んでいるわけではありません。

たとえば、これを押すとやっぱり音が出る、こっちは引っ張ると扉が開くなど、「こうすれば、こうなる」という、ものの性質とかルール性のようなものを確認しながら学習しているのです。

これはちょっとした実験ですね。

こうやって、いろいろなものに触れながら、その体験をため込んでいっているのです。
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大人がうまく関わると一つの遊びに集中します

ただ、一人遊びが長続きするのは難しい時期でも、大人が一緒に遊んであげると遊びが発展し、一つの遊びに集中させることができます。

◆没頭する遊びのヒントは、「いたずら」にある!?

子どもが没頭できる遊びのヒントになるのが「いたずら」です。

「落とすと音がした」「引き出しの中のものをどんどん引っ張り出したら空になった」「チューブを押すと中身がニュルニュル出てきた」など。

「いたずら」は、大人には困ることですが、子どもは、見たり、聞いたり、触ったり、なめたりと、感覚で遊びを楽しんでいます。

意外性があったり、好奇心を誘うような、ものの変化を楽しめる遊びを安全な範囲で教えてあげると喜んで遊ぶでしょう。

◆親子ですると遊びが発展して長続きする「まねっこ遊び」

2歳ごろになるとそろそろ楽しめるようになるのが「まねっこ遊び」です。

子どもだけでするにはまだ難しい遊びですが、大人と一緒なら没頭して遊べるうえ、イメージ力を育むこともできます。

「買い物ごっこ」や「ままごと」、「運転手さんごっこ」、「ハイキングごっこ」など、その子の興味にあうものに誘って一緒に楽しんでみましょう。

大人に遊んでもらった楽しい体験が、いずれは一人遊びやお友だち遊びを継続させたり、発展させていく力になっていきます。

「あきっぽさ」を心配するより、ときどきは腰を据えて親子でじっくり遊ぶ時間を作ってみるのも、子どもにとって楽しい学びの時間になるでしょう。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...